やめろ、もうなにもいうな

やめろ、もうなにもいうな

 

「これは許されぬ罪だ」とモーリス。

クライヴ「やめろ、もうなにもいうな。君は実に紳士的だった。

そのために僕は友の友情を別の感情に取り違えてしまった。許してくれ」

モーリス「君が好きだ。君と同じだ。最初から君をずっと愛していた」

クライヴ「僕を慰めようとしているなら忘れてくれ。相手が君でよかった。

でなきゃ、先生か警察に訴えられていた」

髪を撫でられうっとりしていたヒューさま。

モーリスだって、クライヴの最初の告白の時、「バカ言うな」なんて言わず、

素直に受け入れてあげればよかったのに。「紳士的」も良し悪しね。

二人の愛情の形は食い違ったまま変形していきます。

でも、本気で好きだったらボタンの掛け違いがあったとしても、

どこかで結びつくのでは。この映画はそうならない。

ヒュー様が逃げ腰になる、というよりそうさせてしまう社会なのよ。

 

(「モーリス」 )

 

bn_charm