エディ・レッドメイン

自分は女だと思います

〜「リリーのすべて」⑬〜

自分は女だと思います ヴァルネクロス教授はリリーを診て訊いた。「自分をどう思います」リリーは迷わず答える。「結論はひとつです。自分は女だと思います」ゲルダはしっかり肯定する「私もそう思います」教授は「あなたは正しい」これこそ二人が求めていた答えでした。分裂だとか混乱だとか、人格を否定されるのではなく、今の自分...

自己同一性混乱です

〜「リリーのすべて」⑫〜

自己同一性混乱です 医師の診断は「自己同一性混乱です」別の医師は「精神分裂です」ゲルダは、医師は信じられない、と不信に陥ります。いろいろ病名はつくのですが、どうしても夫が混乱しているとか、分裂しているとか思えない。分裂しているどころか、リリーはやっと自分の全体像が見えてきたのです。「医者は助けてくれない」絶望...

ときどきアイナーを殺したくなる

〜「リリーのすべて」⑪〜

ときどきアイナーを殺したくなる 「もう彼は遠い」そうつぶやいた妻に、アイナーは、いや、もうリリーと呼んだほうがいいでしょうが、「ときどきアイナーを殺したくなる」ゲルダは肝をつぶします。グズグズしていたら、夫はアイナーを、もうひとりの自分を殺してしまう。夫の幼馴染で、パリで画商をしているハンスに相談しました。彼...

もう続ける自信がない

〜「リリーのすべて」⑩〜

もう続ける自信がない ウラから情報は得たものの、いまみたいに、ネットやスマホ、パソコンの時代とは違います。まして遠いドイツにいる医師の情報などわからない。ゲルダのストレスは日増しに強くなります。「もう続ける自信がない」思い悩んで夫にいう。「わかっている。でも君を愛している。答えを見つけるよ」気のせいでしょうか...
水

ドレスデンに産婦人科の医師が

〜「リリーのすべて」⑨〜

ドレスデンに産婦人科の医師が 「ドレスデンに産婦人科の医師がいるの。アイナーみたいに混乱した男性を診るわ」ウラを演じるのがアンバー・ハード。元ジョニデ夫人です。きれいね。地味な役ですが、しょうもないホラー映画の主演より、ずっといい味を出しています。ウラは数少ないゲルダの友だちであり、ゲルダのモデルをしている踊...

リリーが太りたくないの

〜「リリーのすべて」⑧〜

リリーが太りたくないの 「君が望むことを僕は与えられない」と夫にいいます。もともと細いアイナーがますます痩せていき、彼を見た女性たちが「あんなに細いのよ。どこか悪いのよ」とささやく。「もっと食べないと」とゲルダは心配する。夫は答えるのだ「リリーが太りたくないの」完全にリリーがアイナーの中心にいます。アイナーと...

私たちは夫婦よ

〜「リリーのすべて」⑦〜

私たちは夫婦よ ゲルダは夫にいいます。「私たちは夫婦よ」夫の返事は「あなたとアイナーはね」「!!!」ゲルダは声も出ない。リリーにとってアイナーはもう存在しないのだ。ゲルダはたまらなくなる。夫が考えるのは「自分のことばかりね。アイナーに会いたい。呼び戻して。夫と話をして抱きしめたい。あなた、せめて努力して」妻の...

ご主人は精神病です

〜「リリーのすべて」⑥〜

ご主人は精神病です アイナーは医師の診察を受けます。ある医師は「ご主人は精神病です」。「ちがいます!」とゲルダは叫ぶ。アイナーは普通の男性と異なっているかもしれない。でも精神は狂っていない。ある医師は「分裂症だ」ある病院では「性的倒錯である」として拘束しようとします。アイナーはかろうじて逃走する。誰も自分を理...

アイナーの従妹です

〜「リリーのすべて」⑤〜

アイナーの従妹です ゲルダもアイナーも画家です。アイナーは風景画家として名を確立していましたが、ゲルダの絵のスタイルは決まっていなかった。才能はあるのに、決め手になる強さがない。ゲルダはリリーをモデルに描いて画商に見せた。「アイナーの従妹です」「すごく似ているな」画商は、アイナーでありリリーである肖像画にミス...

もうやめて、アイナー

〜「リリーのすべて」④〜

もうやめて、アイナー 「アイナー、リリーは現れないほうがいいわ」ゲルダは夫が女装にのめり込んでいくのに懸念を強くします。「リリーは存在しないのよ」「そうとも。でも何かが変わったのだ」「もうやめて、アイナー」ゲルダは気づいている。夫の女装は趣味ではない。夫の中の「女性」が目覚めようとしている。それは男性としての...