ウェンディ・マッケナ

私たちで何とかしましょ

〜「天使にラブ・ソングを2⑪」〜

  私たちで何とかしましょ   ドロレスが言った。「私たちで何とかしましょ」 「私たち? じゃ、あなたも?」「残ってくれるの?」 「途中で逃げ出したりしないわよ」 再びドロレスに不敵な微笑が浮かぶ。 いるのだよね、こういう人。 絶対にあきらめないやつが。 ベーブルースは言っ...

本部が今期で閉鎖すると決めた

〜「天使にラブ・ソングを2⑩」〜

  本部が今期で閉鎖すると決めた   校長と理事長が話している。 校長「長い歴史ある学校を閉鎖するなんてとんでもない」 理事長「本部が今期で閉鎖すると決めた。この赤字では再建はムリ。 地域からの寄付も入ってこない。 土地活用は駐車場にするのがいちばん効率的と思う」 理事長は年...

「くっついた!」

〜「天使にラブ・ソングを2⑨」〜

  「くっついた!」   「折衷派とは音楽ならなんでもありってことよ」 ドロレスが50〜60年代の女性グループのことを授業しています。 「違う音楽をくっつけるのよ。そのいい例が…」 腰を上げようとするとベタッと接着剤で僧衣が椅子に張り付いていた。 「くっついた!」教室じゅう、ヤ...

あんたは単位をくれればいいの

〜「天使にラブ・ソングを2⑧」〜

  あんたは単位をくれればいいの   札付きのワルどもです。 クラスの中心的な黒人の女の子、リタはふてぶてしくドロレスに言う。 「あんたは単位さえくれればいいの」 ドロレス「つまり何もしないで卒業するのね」 「自分の気にいったことならするわよ」 挑発するが、ビビらないドロレス...

悪の花園を仕切るのはあなたよ

〜「天使にラブ・ソングを2⑦」〜

  悪の花園を仕切るのはあなたよ   ドロレスに面談した校長先生。 「私なりに得た教育方針を言おう。 しつけだ。生徒に必要なのはそれだけだ」 しつけ? ドロレス逆らわず 「すべてを悟った気がしたわ。任しといて、校長先生サマ」 いざ教室に向かう。 一歩入って唖然。机に突っ伏し...

人助けにセコイこと言わないで

〜「天使にラブ・ソングを2⑥」〜

  人助けにセコイこと言わないで   1週間だけ協力するというドロレスに 「人助けにセコイこと言わないで」と院長にやり込められる。 再びペンギン、いや修道女の制服を身にまとったドロレス。 「この格好に戻ることになるとはね」 尼僧たちは帰ってきたドロレスを囲み 「休み時間は戦場...

あまりいい例えじゃないわね

〜「天使にラブ・ソングを2④」〜

  あまりいい例えじゃないわね   院長は説得するのに懸命です。 「あなたはいい手本になる。ブタも努力すれば絹の財布が持てる」 日本語にもあります「ブタも褒めれば木に登る」と。 でもまさか本人に言うとは。 「あまりいい例えじゃんないわね」 ドロレスは渋い顔をして「私、成功の一...

音楽を教えて

〜「天使にラブ・ソングを2④」〜

  音楽を教えて   「ドロレス、教師になって彼らを導いて」 「冗談でしょ。何を教えるのよ」 「音楽を教えて」 院長はドロレスの本質を見抜いています。 音楽には理論も技術も必要かもしれないが、 音楽と歌への愛がアーティストにはなければならない、 ドロレスこそがそれを持ってい...

よく来てくれたわ

〜「天使にラブ・ソングを2③」〜

  よく来てくれたわ   院長は喜色をよみがえらせドロレスを抱きしめる。 「よく来てくれたわ、ドロレス。元気? ベガスで見世物になっているとか」 相変わらず口は悪いが悪意ゼロ。 院長にはショーと見世物の区別がつかないだけ。 ドロレスは意に介せず「元気よ」 かつてやんちゃなド...

絶望?

〜「天使にラブ・ソングを2」➁〜

  絶望?   「院長は元気?」 「元気よ。絶望しているけど」 「絶望?」 シスターたちは一気に話し出す。 「あなたを連れて戻るようにというの」 「どうしても戻ってきてほしいの」 しっかり者の院長が絶望する… シスターたちの奉仕先の高校の生徒たちが手に負えない、 聖フラ...