この手は心のきれいな人の手だ
リンコが勤める介護施設にはいろんな人がいます。
見舞いに来る人ごとに「わたくし、○○製薬のなになに」と名前を名乗り
(大企業の部長か役員かだったのでしょう)、介護士にいつも
引き戻されていく年配の男性がいます。
彼は自分の手をとってくれる人の手を握ると
「これは正直な人の手だ」とか、感じたことを言うのです。
リンコが手をひくと「この手は心のきれいな人の手だ」
リンコの「自分ではどうしようもないこと」の一つに手がありました。
まさしく男性の力強い手なのです。逆にそれがコンプレックスだった。
「このごつい手はどうしようもない」と嘆くのです。
リンコは救われたのではないでしょうか。