正気を保つために書いている
ウィリーには何人かのゴーストライターがいます。
シュウォヴはその一人。コレットも書き始めたと知り
「例の本は?」と訊く。
「ウィリーのお気に召さなかった。名を残さず死ぬわ。あなたは?」
「書いているだけだ」シュウォヴは寂しそうに言い
「だが時たまだが、別次元に行けることもある」
しがない代筆屋だが、書くことに没頭している時、
不意に体が軽くなって別次元にいる高揚感を味わう。
どんな感覚か書き手ならわかる。
シュウォヴが言ったのは書く者の業です。
〜「コレット」〜