あの役はもらえないわよ
「あの役はもらえないわよ」グサッと母親は突き刺す。
「才能もないし。私にはあった。若さも美貌も。あんたにあるのは
タレ乳とユル穴。私より臭うよ」
ハバナ、こらえきれずウエエ〜ン!
ノーベル文学賞作家のドリス・レッシングが「黄金のノート」で
近親相姦についてこんなことを登場人物の女性に喋らせています。
彼女は弟のその関係にあります。
「あのことで誰かを傷つけたわけじゃないわ。そうでしょう?
だったら私のどこが悪いの?いけないの?わからないわ」
クローネンバーグがいったとしてもおかしくないと思いません?
後で触れますが、この映画は主役級全員がその関係にあります。
クローネンバーグが描きたかったのはモラルのテキストではなく、
性的アウトサイダーです。
いちばん彼の感覚をよく表しているのは「近親相姦?クサすぎ」と
鼻であしらったすごい母親じゃないでしょうか。