Diversity Studies

これほど回復するとは

〜「アンモナイトの目覚め」(15)〜

  これほど回復するとは   意識を取り戻したシャーロットを医師が診察した。 「すべて異常なし。これほど回復するとは。完璧です」 お手柄ですね、と医師は褒めちぎった。 医師が帰ったあと、シャーロットがメアリーに微笑むが、 ブスッとしたままのメアリーに、笑顔は引っ...

軟膏を売ってほしいの

〜「アンモナイトの目覚め」(14)〜

  軟膏を売ってほしいの   メアリーはエリザベス・フィルポットを訪ねました。 イギリス式ガーデンの綺麗な庭で、 作業着をまとい、薬草の手入れをしているエリザベスに 「軟膏を売ってほしいの」。 フィルポット軟膏というものを彼女は作っています。 呼吸が苦しそ...

24時間、看護が必要です

〜「アンモナイトの目覚め」(13)〜

  24時間、看護が必要です   リーバーソン医師が往診した。聴診器を外し 「高熱です。何か寒い思いをしたとか、雨に濡れたとか?」 「さあ」。メアリーはふと思い当たる。 「泳いだかも…」 「それでは凍えますね。24時間、看護が必要です」 「冗談じゃない。よ...

母さん、来て、早く!

〜「アンモナイトの目覚め」(12)〜

  母さん、来て、早く!   翌朝、息をゼロゼロ言わせながらシャーロットがメアリーの店に来た。 メアリーがドアを開けたとたん、支える間もなく、床に崩れる。 仰天して抱き起こすが、どうしていいかわからない。 「母さん、来て、早く!」メアリーは大声で母親を呼んだ。 ...

ここで止まれ

〜「アンモナイトの目覚め」(11)〜

  ここで止まれ   「ここで止まれ」箱のような荷車を押す男の声。 ネグリジェのような水着を着たシャーロットの足元の床は板張りで、 隙間から寄せて引く波が見える。 大きな箱車の出口に、取り付け自由な梯子階段が置かれた。 目の前は灰色の冬の海だ。波は高い。 ...

ひとりで泳げば?

〜「アンモナイトの目覚め」(10)〜

  ひとりで泳げば?   シャーロットがメアリーの後ろを歩く。荒波が打ち寄せる浜辺だ。 足取りは重く、屠殺場に引かれていく仔牛みたいだ。 メアリーが掘りかえす岩の目星をつけている。 「あれは?」後ろで声がする。 シャーロットにも気のついた岩があったらしい。 ...

妻をライムに残すことにした

〜「アンモナイトの目覚め」(9)〜

  妻をライムに残すことにした   「ほかに何か?」用件がすんでもグズグズしているロデリックに 不審気にメアリーが訊く。 「実は妻がウツなのだ。医者は海辺でのんびり過ごせと。 ライムに残すことにした。浜辺を歩いて君から学ばせたい」 シャーロットも地質学者なのです...

君は抜け殻のようだ

〜「アンモナイトの目覚め」(8)〜

  君は抜け殻のようだ   波止場を歩きながら夫が妻に言います。 「もう耐えられないよ。君は抜け殻のようだ。 考古学ツアーに同行を期待するなんてどうかしていた。 回復には時間がかかる。ここ(ライム)は格好の保養地だ。 明るく陽気で賢い妻に戻ってほしい」 「...
うつや発達障害があるLGBTQが利用できる福祉事業所がオープン

うつや発達障害があるLGBTQが利用できる福祉事業所がオープン

認定特定非営利活動法人ReBitは、日本初のLGBTQなどの多様性にフレンドリーな就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリアセンター」を、2021年12月1日(水)に渋谷区にオープンしました。   障害や疾患があるLGBTQ等の就職を支援 LGBTQであることは障害ではありませんが、LGBTQは社会...