門脇麦

さわってみる? どうぞ

〜彼らが本気で編むときは、⑥〜

さわってみる? どうぞ   トモの視線が胸に注がれているのに気づいたリンコは微笑み 「200CCずつ。Eカップ。さわってみる? どうぞ」 さわりたいが、まだそこまでトモはリンコに近づけない。 「いいです」と言って下がる。リンコも無理押ししない。 時間をかける、はこれまた荻上作品の鉄則。 ...

生まれたときは男の子だったの

〜彼らが本気で編むときは、⑤〜

生まれたときは男の子だったの   「マキオから聞いた? 私のこと。生まれた時は男の子だったの。体の工事は 全部終わっているのだけど、戸籍はまだ男のまま。 私みたいな人がいること、知ってるよね」 トモにいきなりはわからなかったと思いますが、美しく、やさしく、料理が 上手で叔父の大事な人。まあ...

「いただきます」

〜彼らが本気で編むときは、④〜

「いただきます」   これまたフツーのセリフ。でもトモにとっては別世界。 食卓には揚げたての唐揚げ。サラダ。吸い物。色とりどり。 トモが家で見たこともない夕食です。 「食べる」は荻上作品で大事な役を果たします。 料理に語らせるフードスタイリストは飯島奈美。 「めがね」の食卓も彼女でした。...

「ただいま」「おかえり」

〜彼らが本気で編むときは、③〜

「ただいま」「おかえり」   「ただいま」とマキオ。 「おかえり」と声が返る。ドキドキしているトモに 「いらっしゃい、トモちゃん。リンコです。どうぞ」 低い、やさしい声で、生田斗真登場! これも荻上作品の特徴ですけど、日常やりとりする言葉がスンナリ セリフになっています。 このシーンも...

実は一緒に住んでいる人がいる

〜彼らが本気で編むときは、②〜

実は一緒に住んでいる人がいる   川べりを自転車を押して帰りながら 「実は一緒に住んでいる人がいる」とマキオが言う。 トモは(自分は邪魔者)と感じ、緊張する。 「とても大事にしている人なんだ。姪が来ると言ったら喜んでた。 でも、なんていうか、変わっている人で…」 具体的な情報を与えられな...
article placeholder

また?

〜彼らが本気で編むときは、①〜

また?   トモは11歳。 叔父のマキオは書店のレジをしている。トモの母ヒロミはマキオの姉だ。 コミックをレジに持ってきた姪に叔父は「また?」と訊く。 姉は度々男をつくって家を出て行くからだ。 「まったく、どうしようもない人だなあ」 マキオはトモを連れて帰ることにする。 「どうせまたふ...