佐久間由衣

会えるの、楽しみにしている

〜 「君は永遠にそいつらより若い」33

会えるの、楽しみにしている   ホリガイは思い切って会いに行った。 これからのことはどうなるかわからない。 わからないけれど「生きている限り気にする」というのが ホリガイがホリガイ語で、自分の愛を伝えようと しているのだとわかる。 イノギさんもそれがわかっている。やさ...

もしもし、ホリガイです

〜 「君は永遠にそいつらより若い」32

もしもし、ホリガイです   イノギさんのことを考えると、いくらでも時間が過ぎていく。 今まで、こんなこと、あったかな。 「もしもし、ホリガイです」 「久しぶりだね、フェリーに乗っているのだって?」 「迷惑だったかな。すごく会いたいけど、 イノギさんがアレだったら諦める...

今からフェリーに乗ります

〜 「君は永遠にそいつらより若い」31

今からフェリーに乗ります   ショーゴ君救出のあとメールしたが、 イノギさんからの返信はなかった。 イノギさんは大学を休学し、小豆島に帰っていた。 理由を尋ねると「疲れたのかな」 イノギさんの声はあの時から聞いていない。 3ヶ月後。ホリガイはメールする。 「今か...

ちょっとだけ会えませんか

〜 「君は永遠にそいつらより若い」30

ちょっとだけ会えませんか   暗い汚い、狭い部屋のゴミの中に、毛布を被った 男の子がうずくまっていた。 救出する。 ちょっとわからないシーンがあるのですけどね、 ホリガイがベランダから中を覗いた時、 暗がりに「イノギさん?」が立っている幻視を見るのです。 もちろ...

バカ、バカ、何するんだよ

〜 「君は永遠にそいつらより若い」29

バカ、バカ、何するんだよ   鍵がかかって入れない部屋に、ホリガイは3階のベランダから 下に降りようとする。 「バカ、バカ、なにするんだよ。不法侵入で捕まるぞ」 ヨシザキは懸命に止めるが、ホリガイは長身だ。 ぶら下がるとつま先がベランダに届いた。 〜「君は永遠にそいつらよ...

ショーゴ君によろしく

〜 「君は永遠にそいつらより若い」28

ショーゴ君によろしく   その日の午後、ホリガイはホミネの遺品整理をするヨシザキに 付き合った。 遺書が見つかった。 「理由は聞かないでください。僕にもわからないのです。 下のショーゴ君にもよろしく」。 ショーゴ君は階下の、虐待にあってホミネが保護して 誘拐犯と...

見送りには行かないよ

〜 「君は永遠にそいつらより若い」27

見送りには行かないよ   別れの朝だ。 「泣いちゃうから、見送りには行かないよ」 「じゃ。いろいろお世話になりました」 「何かあったら連絡します」とイノギさん。 「待っています」とホリガイ。 一夜を共にした朝にしては、他人行儀な挨拶ですが それがかえって2人の関...

学校行って先生呼んできて

〜 「君は永遠にそいつらより若い」26

学校行って先生呼んできて   女の子は二人ずれだった。 倒れている少女を見て、一人が言った。 「学校行って先生、呼んで来て。私はここにいる」 誰もいなくてここで、一人で死ぬんだとイノギさんは思った。 「その女の子のこと、たまに思い出すの。 縋りつきたいような気持ちで。...

私を見つけてくれた女の子がいるの

〜 「君は永遠にそいつらより若い」25

私を見つけてくれた女の子がいるの   イノギさんが過去を打ち明けた。 中学生の時、激しい暴行を受け、 犯人は一昼夜現場の野原に放置した。 痛ましい傷は痕を残したまま 「いろんな人を不幸にした。親の離婚もこの傷のせいなんだ。 12の時離婚した。 それから私は小豆島...

気づけなきゃいけないと思う

〜 「君は永遠にそいつらより若い」24

気づけなきゃいけないと思う   「気づくわけないよ。気づかれないよう、頑張っていたんだから」 イノギさんは慰めるが、 「それでも気づかなきゃ、いけないと思う」 気づけないということは、他者に無関心であることだ。 そんな自分が人を助けられるはずがない… ホリガイの欠如感...