Diversity Studies

私はやめない

〜 「トム・オブ・フィンランド」33

私はやめない   バタバタと倒れていく罹患者たち。 トムは画紙を見てつぶやく。 「もう死はウンザリだ。私はやめない」 描くことをやめない。 人生を豊かにするような絵を描いて出版する。 そう決心したトム。 彼のテーマがよみがえる。 ポパイのような水兵、彼の肩...

君から命と愛をもらった

〜 「トム・オブ・フィンランド」32

君から命と愛をもらった   トムは描いていない。 今のアンチ・ゲイの状況で自分の絵は受け入れられない。 「最近、描いていないのだよ」 「君から命と愛をもらった。後悔はない」 ウサギが逃げた。 慌てふためいて探す男たち。 看護師もまじり病室は大騒動だ。 ほん...

ゲイは地獄に落ちるぞ

〜 「トム・オブ・フィンランド」31

ゲイは地獄に落ちるぞ   ロスはエイズ旋風が吹き荒れていた。 「彼らは異常者です」 「ゲイは地獄に落ちるぞ」 「悔い改めろ」デモが行進する。 トムたちはエイズに罹患した友だちの見舞いに病院へ行く。 患者の兄弟だ、甥だと称する男たちがゾロゾロ。 家族でなければ面会...

我らの歌の響きを聴け

〜 「トム・オブ・フィンランド」30

我らの歌の響きを聴け   「問題が起きた」ダグから緊急電話。 「ゲイがウィルスの元凶だと訴えている。 君の絵も危険視された。印刷もできない」 トムはアメリカに飛んだ。 機上の窓から戦闘機が炎上墜落する幻想を見る。 フィンランドの戦場が浮かんだ。 「我々は負ける、...

僕たちの存在を知らせてくれ

〜 「トム・オブ・フィンランド」28

僕たちの存在を知らせてくれ   トムとヴェリがショッピングする。 生地店でカーテンを選ぶ。 黄色い生地があってそれを選んだ。 「女々しい色だ」 そんなことを言いながらトムとヴェリはカウンターで手を繋いだ。 隠れず人前で手を繋ぎたい、 そう言っていたヴェリの夢をト...

どんな苦労でもするよ

〜 「トム・オブ・フィンランド」27

どんな苦労でもするよ   「ロスには名医がいる。喉頭ガンも治せるよ」 トムは続ける。 「庭付きの家に住んでオウムが飼える。 人口の大半はゲイだ。 逆にストレートは差別されるのさ。 だから助けてやるんだ。彼らにも自由に生きる権利があると。 ヴェリ、君のためならどん...

アメリカにはいい男がいたか

〜 「トム・オブ・フィンランド」26

アメリカにはいい男がいたか   トムが一時帰国した。 相変わらずヴェリは妙な咳がやまなかったが、明るく訊いた。 「アメリカ進出か。アメリカにはいい男がいたか。 君が描くみたいな」 「ああ、いたよ。だが1人たりともあるダンサーほどには 賢くて、優雅で、セクシーではなかっ...

君が彼らを特別にした

〜 「トム・オブ・フィンランド」25

君が彼らを特別にした   「なあ、トム」とダグ。 「俺たちの仲間は逃げてきた。家や学校や、病気から逃げてきた。 否定され、差別されて」 ジャックはこう言う。 「地元では殴られる。最低だよ」 ゲイが受けてきた差別。軽蔑から逃げるしかなかった存在。 「君がそんな仲間...

描くのをやめる

〜 「トム・オブ・フィンランド」24

描くのをやめる   しかし出来上がった作品集にトムは不機嫌だ。 「とんだ粗悪品だ。オナニー本さ」 「そのおかげで人気が出たんだ。誰も表紙以外、気にしないよ」 たかがそんな雑誌か。 「なら描くのをやめる」不満を募らせるトムに ダグが冷静に話しかけた。  ...