ヘレナはとてもいい子だよ
「タバコ店を開くのだったら、巻き方を覚えないと。
不器用ね、貸してみて」
キャスリーンは上手にタバコを巻いてみせた。
「モリソンズのヘレナはとてもいい子だよ」と
ヒューバートが言った。
ヘレナとはボイラー係のジョーと付き合っている
男好きのウェイトレスだ。
「ホテルの花だよ」
ヒューバートも余計なことを言ったものだ。
彼の家庭はアルバートにとって理想だ。
ヘレンのことは何も知らないのに、
(ヒューバートの言うことなら間違いない)
世間知らずのアルバートはそう思ってしまう。
〜「アルバート氏の人生」〜