Diversity Studies

あの子、だれ?

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」12

あの子、だれ?   翌日のミサ。クリスマス直前の子羊の祝福式です。 讃美歌の流れるなか、聖タスシシウスに酷似した少年が 子羊を抱いてホールに入ってくる。 その愛らしさ。美少年をひと目見てジョルジュは心臓がときめく。 「あの子、だれ」とルシアンに尋ねる。 それがアレクサ...

僕は神の手を握らない

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」11

僕は神の手を握らない   ルシアンが枕に顔を埋めて泣く。 ジョルジュが慰める。 「君にはわからないよ。放校の原因は僕とのことだ。 彼から贈られた詩を失くしてしまったんだ。 誰かが密告した」 「校長は僕らの友情を祝福するって。明日のミサに出ろと」 「神の救いの手だ...

汚れた精神は害となる

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」10

汚れた精神は害となる   フェロンは放校処分となった。 「君たちの仲間の一人が学校を去ることになった。小さな過ちも 当校にはふさわしくない。 たとえわずかでも汚れた精神はよき生徒たちの害となる。 ゆえに彼を放校した」 お言葉ですが「汝らのうち罪なき者」はいないのですか...

聖タルシシウスの胸像

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」9

聖タルシシウスの胸像   なんと、ジュルジュはフェロンの手紙を持って校長室に行った。 校長は部屋にいなかった。 学校宛の郵便物が聖タルシシウスの胸像のそばに置いてあり、 フェロンの手紙をその下に紛れ込ませた。 戻ってきた校長に、父親からの挨拶を伝えにきましたとだけ 言...

はみ出し者というのがいる

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」8

はみ出し者というのがいる   自分が悪を避けるとともに、友を守らねばならぬと 神父は言い、 「はみ出し者というのがいる、彼らも迷える子羊なのだ。 よくお聞き。 その手紙が、友を糾弾せねばならぬほどの重大な罪か、 ささいな過ちか、判断は君に任せる。 答えは私にもわ...

恥ずべきことと思います

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」7

恥ずべきことと思います   ジョルジュはラブレターを懐に隠し、ローゾン神父に 「恥ずべきことと思います」と差し出した。 フェロンとルシアンへの嫉妬か、いい子ぶりたい正義感か、 要はジョルジュのチクリです。 人の手紙を盗んだ上に上司に言いつけるなんて、 名門侯爵の息子が...

恋人よ、覚えているかい

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」6

恋人よ、覚えているかい   授業中、会計係に呼び出されたフェロンとルシアン。 ルシアンと机を並べていたジョルジュは、 ルシアンが置いていった本に手紙が挟んであるのを見た。 そっと開く。盗み読みである。 「愛する者へ」で始まるラブレターだった。 「友よ、君はあの美しい夕...

フェロンの血は僕の血だよ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」5

フェロンの血は僕の血だよ   サッカーで怪我したフェロンの傷を、 ルシアンがハンケチでぬぐい、水道で洗っていた。 見ているジョルジュに 「フェロンの血は僕の血だ。僕らは去年、血の契りをした。 腕に傷をつけ、血を混ぜ合わせる、それで2人は ひとつになる」 エロチッ...

悪というのは不純だよ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」4

悪というのは不純だよ   キーパーのフェロンを「彼はいいね」とジョルジュが誉めた。 「いいって、何が?」とマルクが聞き返す。 ジョルジュはサッカーが上手いという意味だったが 「上手いけれどいい人間じゃない」とマルクは否定した。 彼は皮肉屋だ。 「フェロンがなぜ?」 ...

清らかでありなさい

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」3

清らかでありなさい   ミサで司祭が純潔教育を説いています。 「今のあなた方のごとく、清らかでありなさい。 不幸にも純潔を失えば、祈りなさい。されば救われる。 目覚めよ。敵があなた方を堕落させようとしているから」 聖職者になるとは、俗世間の者が聞いても 何のことか、見...