Diversity Studies

兄さんたち、バカみたい

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」10

兄さんたち、バカみたい   パブの集会。 「あなたは心の糧、命の泉」と兄が説く。 「神は死んだ!」とモナが遮る。 「兄さんたち、バカみたい」。 モナは同年の女の子たちより苦しい経験をしています。 父の蒸発、母の死、男との不倫、何が神々だ。 兄のやっていることはイ...

日が暮れたテニスコート

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」9

日が暮れたテニスコート   タムジンとモナはワインを飲みすぎて テニスコートで眠ってしまった。 気がつくと日が暮れていた。 タムジンはいない。肌寒くなってきた。 置き去りにされた帰り道、灯りのついた部屋で 家族と夕食を囲むタムジンがいた。 〜「マイ・サマー・オブ・ラ...

将来どうするの?

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」8

将来どうするの?   タムジン「将来どうするの?」 モナ「弁護士になる」 タムジンに冷笑が浮かぶ。 労働者階級で学校もろくに行っていないモナが? タムジンの心理に気づいたモナ。 「屠殺場で働く。ろくでなしを恋人にして 子供をバンバン産む。あとはババアになる、また...

この世には特別な人間がいる

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」7

この世には特別な人間がいる   テニスコートで。 「ニーチェ、好き?」 「誰、それ」 「哲学者よ。彼によればこの世には特別な人間がいる。 成功を約束された選ばれた人たち。 その他大勢はどうでもいい。 成功者とはシェイクスピア、ワグナー、 お兄さんみたいな偽...

姉は拒食症で死んだ

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」6

姉は拒食症で死んだ   お互いの身の上を話す。 「兄は強盗、窃盗、ケンカで刑務所に。 私は父親を知らないし、母はガンで死んだ」 「私の姉、セイディは拒食症で」 写真を見てモナが言う。 「すごい美人ね」 タムジンが言い直した。「美人だった」 〜「マイ・サマー・オ...

サンサーンスの「白鳥」よ

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」5

サンサーンスの「白鳥」よ   タムジンは自室でチェロの練習をしていた。 楽器の演奏なんて、モナが見たこともない光景だ。 曲はサンサーンスの「白鳥」だと教えた。 「私の家も“白鳥”よ。店の名前なの。 でも今は聖堂よ。兄が神に目覚めて生まれ変わったから」 タムジンは驚きも...

この谷に愛を

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」3

この谷に愛を   モナの兄は教祖だ。自宅のパブを集会所とし、 町の人々の愛の拠り所にしたい。 「この谷に愛を」 呼びかける兄にモナは白ける。 強盗も窃盗もやり刑務所に入る兄を愛していた。 町の人々は熱心に耳を傾けている。 そんな兄が偽善者にしか思えない。 〜「...

暇なとき遊びに来て

〜 「マイ・サマー・オブ・ラブ」2

暇なとき遊びに来て   騎乗のタムジンとエンジンのないボロバイクを押すモナが 野道を歩く。 「会ったことないね」とモナ。 「夏の休暇だけ家に帰る」でも実は停学中の問題児だ。 「暇なとき遊びに来て」と言ってタムジンは馬首を巡らせた。 門から建物まで馬で行く広大な庭。 ...