このままでは宝の持ち腐れだ
ジャニーヌの歌に司教が目をつけた。
「優れた人材だな」とラジオ・テレビ担当の神父に言う。
「探し求めていた“真珠”です」
「美しい声にカリスマがある。このままでは宝の持ち腐れだ」
レコード会社のオーディションを受けさせようとなった。
修道女のやることではないとシスターは反対する。
司教らは言葉巧みに言うのだ。
「希望の光が見えませんか。
あなたは聖堂の再建を願っていたはず。レコード化できれば
小銭が稼げますぞ」
宗教にも教会にも修道院にも、
司教らが口にする「希望」という言葉にも「聖堂」にも
欲得が張り付いている。でも彼らは間違っていた。
「小銭を稼ぐ」ケチな成功ではなかったのだ。
それがますます彼らの欲望を膨らませた。
〜「シスタースマイル」〜