私よ、入れて
コンコン、ノックがあった。
「どなた?」とキーリーの妻ルイーズ。
「私よ、入れて。ヴァルの母親のゴールドマン夫人よ」
顔を見合わせたキーリー夫妻。じゃ、今までいた“母親”は誰だ?
キーリーの顔色が変わった。
「あいつ、妻と妾をひとつ屋根の下に!」
あいつ、とはヴァルの父であり、
さかんにキーリーが疑問をつのらせていたアーマンドのこと。
挙動不審な男だと思っていたら、妻妾同居がバレないかと
ヒヤヒヤしていたのだ。
硬い表情のふたりをよそに、
「キーリ議員、奥様? キャサリン・ゴールドマンです」
キャサリンが流暢に挨拶した。
〜「バードケージ」〜