​auじぶん銀行株式会社は、全国のLGBTを含む性的マイノリティに該当しないビジネスパーソン(LBGT非当事者)500名、LGBTを含む性的マイノリティに該当するビジネスパーソン(LGBT当事者)500名の計1000名を対象に、「LGBT当事者をとりまく就業環境の実態調査」を実施しました。

LGBTの理解について

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
「LGBT」とは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった言葉です。

LGBT非当事者に対し、この言葉の意味を理解しているかを調査したところ、結果は「充分に理解している(31.0%)」、「なんとなく理解している(50.6%)」と、合わせて81.6%の人が理解していることが分かりました。一方で、意味も言葉自体も知らないという人が3.6%いることも判明。

近頃ではLGBTに関するさまざまな情報が出まわっていたり、著名人の当事者によるカミングアウトや発信が多いことが、「LGBT」という言葉の理解に寄与していると考えられます。

また、LGBT非当事者にLGBTの友人や知人がいるかを質問すると、約8割が「いない」と回答、「いる」という人は約2割という結果に。その一方、LGBTについて学びたい・知りたいかという質問に対しては、「とても思う(12.6%)」、「どちらかといえば思う(37.0%)」と合わせて約半数の49.6%が学びたい・知りたいと考えていることがわかりました。

 

企業のLGBT支援制度

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
勤めている会社でLGBTに対して協力的な制度や取り組みを行っているかという質問に対し、22.7%の人が「行っている」、48.3%の人が「行っていない」と回答。約半数の人の会社ではまだまだ支援制度が導入されていないことが判明しました。

また、29.0%の人が「分からない」と回答。約3人に1人が勤め先の制度を把握できていないことがわかりました。中には制度や取り組みに対する関心が低い人もいると考えられます。支援制度の普及だけではなく、多くのビジネスパーソンが制度や取り組みに関心を持つことも重要だと言えそうです。

LGBTへの支援制度や取り組みを行っている企業は、国内系企業と外資系企業で比較すると外資系企業の方が8.3%多く、業種別で比較すると1位は「コンサルティング(51.7%)」です。

そのほか「通信・IT・ソフトウェア(41.3%)」、「金融(40.0%)」がLGBTに対する制度を比較的進んで取り入れています。一方で、「医療(7.8%)」、「建設・住宅・不動産(12.0%)」では取り組みを行っている割合が低くなっています。

 

企業のLGBT支援制度への本音

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
会社に勤める際にLGBTに対する支援制度や取り組みを行っているかを重視したかの問いに対し、LGBT当事者の回答は「重視した(5.2%)」、「どちらかといえば気にした(15.4%)」、合わせて20.6%が支援制度を重視したと回答。意外にも8割近くが支援制度をあまり気にしていないという結果に。

その理由としては、「そもそも理解してもらうことを期待していない」という声や、30代以降の人々にとっては「自身の就職時はLGBTが社会問題になっておらず、支援制度がなかった」などの声が多くありました。

さらに、どのような支援制度や取り組みをしてほしいかを尋ねると、支援制度よりも「LGBTに対する理解を深めてほしい」という意見が多数。他方「何もしなくてもいい」、「放っておいてほしい」の声が半数以上あります。この背景には、差別のない、多様性を受け入れる風土や意識の醸成を求める意識があるようです。

 

LGBT当事者が抱える職場での問題・悩み

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
LGBTであることで職場でトラブルや悩みがあるかの質問には、25.6%のLGBT当事者が「ある」と回答しました。その内容を詳しく調査すると、周りの無意識な発言によって傷ついているなどの現状が明らかとなりました。

LGBT当事者が困っているエピソードの例は次の通りです。
・「いつ結婚するのか」、「彼女をなぜ作らないのか」など聞かれたくないことを聞かれた時。嘘はつきたくないけど嘘をつくしかない
・制服を着たくない
・カミングアウトがしづらい雰囲気がある
・「結婚しないのか」など異性愛者であることを前提にした話題を振られる。結婚していないと偏見の目で見られる
・職場でLGBTであることを広められたことがある

 

カミングアウトとアウティング

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
LGBT当事者に、自身がLGBT当事者であることを職場の同僚や上司にカミングアウトしているか質問したところ、「カミングアウトしている」人は17.6%と、5人に1人以下という結果にとどまりました。あえてカミングアウトする必要はない、という考えはもちろん、会社や個人の理解が充分ではなく、カミングアウトしづらいといった状況も考えられそうです。

続いて、当事者・非当事者双方に「アウティング」という言葉について調査。「アウティング」とは、人のセクシュアリティを当人の同意を得ないまま第三者に明かす行為を言います。

「アウティング」について何か知っているかという問いへの回答が、LGBT非当事者では「言葉も意味も知らなかった」が74.6%に対し「言葉も意味も知っていた」は12.8%にとどまるなど、非常に認知率が低いことが明らかになりました。対してLGBT当事者は、約4割が「言葉も意味も知っていた」と回答しています。

 

お金の悩み

LGBTの就業環境の実態調査 ー auじぶん銀行
最後はお金に関する問題や悩みについてです。この質問に対しては、LGBT当事者・LGBT非当事者の間に大きな差異はなく、共通して約半数が「老後が心配」と回答。そのほか「収入が低い」、「貯金がない」という回答が続き、お金の乏しさから将来が不安な人が多いことがわかりました。

一方で、お金に関する問題や悩みが「特にない」との回答は、LGBT当事者の方が少なく、将来を不安を感じている人が多い傾向にあるようです。「老後が心配」、「遺産相続」に関する悩みも若干ではありますが、LGBT当事者の方がLGBT非当事者と比べると多いようです。

現在、企業によるLGBT支援制度だけではなく、自治体による同性パートナーシップ制度の取り組みも徐々に増えてきてはいますが、法的整備がされているわけではありません。そういった先の見えない状況が、老後を含めた将来の不安につながっているのかもしれません。

 

LGBT当事者をとりまく就業環境の実態調査

【調査実施日】
2020年8月25日(火)~2020年8月28日(金)
【調査対象者】
・LGBTを含む性的マイノリティに該当しないビジネスパーソン500名
・LGBTを含む性的マイノリティに該当するビジネスパーソン500名
計1000名
【調査主体】
auじぶん銀行株式会社
◇公式webサイト: https://www.jibunbank.co.jp/
◇公式Twitter: https://twitter.com/jibunbank
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