私を傷つけようとしている
トマはリリーをニナの代役としました。
主役に何かあった時のリリーフです。
ごく通常の措置ですが、ニナはそう受け取らない。
「彼女は役を狙っている。私を傷つけようとしている」
トマは驚きますが、初日を控え神経が高ぶっていると思った。
「君は苦しんだ。だが見事に開花したじゃないか。
リリーのことなど心配するな」
励ましたつもりですがニナは自分の穴にはまっていきます。
トマはニナを「開花した」と捉えたのですから、
何かを吹っ切ったとわかったのですね。
でも本人だけが懐疑の中にいる。
〜「ブラック・スワン」〜