「多様性の時代」と言われて久しい近年。学校の制服や体育着を中心とした衣料品の製造販売を行ってきた株式会社トンボが、現役中高生や母親に対する定期的な意識調査、産学連携による共同開発を通じて、時代のニーズに対応した制服の開発と提供を進めています。
性に対する多様性――ジェンダーレス制服
LGBTQに対応するジェンダーレス制服は生徒、親ともに認知が高まりつつあります。
2020年1月に行われた中高生とその母親の各1000名(計2000名)を対象にしたインターネット調査では、「LGBTQの生徒へ配慮として、制服を自由に選択できること(スカートやスラックスを自由に選べるなど)をどのように思うか」という問いに対し、次のような結果が出ています。
親世代では「良いと思う」が56.0%、「どちらかといえば良いと思う」が25.5%。子世代(中高生)では、「良いと思う」が50.8%、「どちらかといえば良いと思う」が32.3%と、親世代・子世代ともに、8割以上が好意的であることがわかりました。
性差のない「ブルゾン風ジャケット」などユニセックスなアイテムも、今後は新たな選択肢となるでしょう。「トランスジェンダーのための制服」ではなく、「性差を意識しなくていい制服」こそが求められているのです。
スラックスをはくのも「トランスジェンダーだから」という理由ばかりでなく、スカートが嫌い、足にコンプレックスがある、寒いのが苦手、パンツスタイルが好きなど、さまざまな理由があります。誰もが「自分の気持ちに合ったスタイルを自由に選べる」、「どれを選んでも大丈夫」という環境をつくることが大切です。
機能に対する多様性――ジャージみたいな制服
「硬い」制服、「重い」制服はもう古い。トンボと信州大学の共同研究で、伸縮性の高いストレッチ素材とこだわりの仕様、パターン設計で、「動きやすい」、「軽い」、さらに「しわになりにくい」制服が生まれました。家庭の洗濯機でも洗えるという優れものです。
「動きやすさ」は、長い時間着用する制服の重要な要素のひとつです。トンボは2017年4月からの信州大学繊維学部感性工学コースと共同研究により、「動きやすい」、「軽い」、「しわになりにくい」ニットジャケット「ミラクルニット」を開発しました。2019年の発売開始から1年間で、28校に採用されています。
「ミラクルニット」は、後ろ身頃に従来よりも10倍(20%)伸びるハイパーストレッチ素材「ムービングアクト裏地」と、すべりの良い従来の「スタンダードツイル裏地」を組み合わせて使用。これにより、動きやすさとスムーズな着脱を実現しました。
表地はストレッチ15%以上。ニット生地に組み立てることでしわになりにくく、これまでにない伸縮性となめらかな肌触りを実現。適度なゆとりをキープし、細部にこだわったパターン設計で、動きやすくスタイリッシュなシルエットに仕上がっています。
動画「ミラクルニット」
https://www.tombow.gr.jp/movie/miracleknit/feature.html
ジェンダーレス制服・ミラクルニット開発
株式会社トンボ
◇公式webサイト : https://www.tombow.gr.jp/
信州大学繊維学部
◇公式webサイト : http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/textiles/