「まさか今頃気がつくなんて!」

「まさか今頃気がつくなんて!」

王妃が小説より戯曲がいいというので、シドニーは「フェリシー」を

読んでいます。登場人物ふたりのセリフを、王妃とシドニーが受け持つ。

「今頃気がつくなんて」は、シドニーが王妃に伝えたい気持ちそのものです。

朗読係になって初めて王妃を見てから4年間、王妃を愛している。

王妃は気がつくはずもない。

屈託なくベッドから半身を伸ばし、1冊の本の両側からシドニーと、

頬をくっつけるようにしてセリフを読んでいます。

無邪気そのもの。

 

(「マリー・アントワネットに別れをつげて」)

 

 

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