セバスティアン・レリオ

結婚もしていないのね

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑪〜

  結婚もしていないのね   叔父の家の晩餐会にロニートは招かれる。 「私が行ってもいいのかしら」「僕の家の客人として、だ」 ドヴィッドの口調にはどこまでもよそ者扱いがある。 多分気の小さな人なのね。 皆が敬遠する勘当者と仲良くなんかしていたら、 自分まで同じに見られる、だか...

テーマは性愛ですね

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑩〜

  テーマは性愛ですね   「テーマは性愛ですね」と学生が解釈を述べています。 ドヴィッドの講義です。ドヴィッドは神学校の、エスティは 小学校の教師です。どっちもお堅いです。 「性愛を通じて真の愛が生まれるのだと説いています」と学生。 「だが、同時に男女間の崇高な何かを伝えてい...

夫婦になって幸せ?

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑨〜

  夫婦になって幸せ?   ドヴィッドとエスティがいて、ロニートが 「夫婦になって幸せ?」と訊く。 しばらく沈黙があり「ああ」と男が答える。 エスティは無言。 微妙ねえ、この空気。しゃちこばっている。 ロニートにはもう、わかったはずです。     &...

あいにくラビに子供はいない

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑧〜

  あいにくラビに子供はいない   ラビの訃報が劇を新聞に載っています。 「ラビ・クルシュカの死はイギリスのユダヤ人に衝撃を与えた。 あいにくラビに子供はいない」 「子供はいないですって」 一人娘がいることは抹殺同然です。 ロニートはドヴィッドに新聞を突きつける。 「新米記...

よそに泊まってほしい?

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑦〜

  よそに泊まってほしい?   ロニートはドヴィッドの勧めで彼らの家に泊めてもらうことにします。 エスティがロニートの寝室の用意をしにくる。 態度がよそよそしい。 「よそに泊まってほしい?」とロニートが気をつかう。 「好きにして」と素気ない。 「タバコは外で吸って」ツケツケと...

僕たちも辛いんだ

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑥〜

  僕たちも辛いんだ   ロニート、エスティ、ドヴィッド、3人は親友だった。 「僕たちも辛いんだ。わかってくれ」とドヴィッドが言ったのは もともと許嫁同様だったロニートを出し抜いて エスティと結婚したことか? でもないでしょう。 「君がいなくなった」ことを盛んにドヴィッドは訴...

「あなたたち…」「そうだ」

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」⑤〜

  「あなたたち…」「そうだ」   ロニート(ハッ)「あなたたち…」「そうだ」と重々しくドヴィッド。 「どうして結婚したことを黙っていた?」 「あなたは消えた」とエスティが口を聞く。 平坦な口調ですがかすかにトゲがある。 怒っているのでもない、妬んでいるのでもない、責めているの...

「ラビのために来たのか?」

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」④〜

  「ラビのために来たのか?」   「ラビのために来たのか」とドヴィッドは訊く。 「他に何がある?」とロニート。 ドヴィッドの言葉には何か含みと猜疑があります。 一人娘が父親の葬儀に参列しようとニューヨークから来た、 それだけとは思えないのです。 「結婚は? 奥さんは誰? 私...

「平気か?」「ええ」

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」③〜

  「平気か?」「ええ」   ドヴィッドという男性が気の小さな人でして、 ロニートをかばうというより、彼女の一緒にいることで 何かトバッチリを食わないか、気にしているようです。 「平気か」「ええ」なんてやさしい問いかけには聞こえない。 平気だったらいかんのかい? 真面目で謹厳...

ロニート、来たとは驚いた

〜「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」➁〜

  ロニート、来たとは驚いた   ロニートはニューヨークで写真家として自立しています。 父親の訃報を聞き、ためらったが帰郷を決める。 ラビの死を悼む人々が集まる家に来て、 ドヴィッドを呼んでほしいと頼む。 彼は父親の後継者となるユダヤ教の指導者だ。ロニートとは幼馴染。 ロニー...