ジョエル・エドガートン

不正直でウソばっか

〜キンキーブーツ㉛〜

不正直でウソばっか   ローラは歌う。 「不正直でウソばっか/掛けをしたら負けばっか/ 変われないガンコなバカ/ブーツは履くため?/それだけじゃダメ? いつか踏みつけてあげる」 ワイルドでセクシー、堂々としていて淫靡、男であって女。 それまで隅っこに押しやろうとしてきた世界が、 晴れの...
article placeholder

またそれ?

〜キンキーブーツ㉚〜

またそれ?   「僕は自分を無用の人間だと感じた」 愚痴をたれるチャーリーにローレンはうんざり。 「またそれ?」何度彼の泣き言を聞かされてきたかわからない。 プライス社の番だ。華やかなカーペットに立つべきモデルはいない。 チャーリーは背広にネクタイ、下は白い下着のパンツに真っ赤なブーツ。 ...

君はドレスを着たマヌケさ

〜キンキーブーツ㉙〜

君はドレスを着たマヌケさ   どうもチャーリーという男性は魅力が薄いとしか思えないのですけど。 彼はレストランにドレスを着てきたローラに、目立つからといって 「君はドレスを着たマヌケだ」などと悪態をつく。 「私たち、堂々と振るまわなきゃ」とローラと誓ったのは一体だれ? 怒ったローラはロンド...

人の心に何を残したか

〜キンキーブーツ㉘〜

人の心に何を残したか   チャーリーの婚約者は新製品に理解がありません。 「両性具有者のポルノ製品」と決めつけます。 おまけに工員たちは、残業に継ぐ残業で疲れ切っていた。 家を担保に出展料をひねり出すチャーリーの努力もわかっていない。 しょげ返るチャーリーにローレンが言います。 「人が何...

偏見を捨てて

〜キンキーブーツ㉗〜

偏見を捨てて   ドンが書いた「男らしくなれる方法」は腕相撲でした。 彼は3年連続腕相撲大会のチャンピオンです。 二人はテーブルを挟んで対決。圧倒的ローラ優勢からドンが逆転勝ちする。 「なぜ手を抜いた」と訊くドンに 「あなたが軽蔑されるのを見たくなかった。軽蔑はイヤだから」 ローラがドン...

ドンは男なのかしら?

〜キンキーブーツ㉖〜

ドンは男なのかしら?   メルが言ったのです。「ドンは男なのかしら」 そばにいる女子工員が「服装は男みたいだけどね」 痛烈な皮肉ですね。 ローラに嫌がらせばかりしている男は、ひとつも男らしくない。 服装だけは男みたいだけど、なんて。 その思わぬ声が聞こえました。   (「 ...

私、どうしたら男らしくなれる?

〜キンキーブーツ㉕〜

私、どうしたら男らしくなれる?   ある日でかでかと汚いポスターが貼られます。 「プライス社の吐き物。女装用創業2005年」 「吐き物」と「履物」をかけているのです。 ヘドが出るのはこういう連中のほうじゃない? ローラは嫌がらせのボス、ドンに囁く。 「私、どうしたら男らしくなれるかな。紙...

靴じゃない、筒状のセックスだ

〜キンキーブーツ㉔〜

靴じゃない、筒状のセックスだ   新製品にしぼりミラノを目指す。 新デザイン15種につき、サンプルは6足ずつ。 「君らが作るのははき物でもブーツでもなく、高さ75センチの 筒状のセックスだ」 チャーリーがコンセプトを示す。全員一丸となって打ってでる時に ローラに対する男子工員の嫌がらせが...
article placeholder

じゃトイレの便座上げておくわね

〜キンキーブーツ㉓〜

じゃトイレの便座上げておくわね   いばらず、誰にでも親切なローラにわけへだてなく接する人もいた。 掃除のおばさんが訊く。 「あんた、男?」「男よ」「じゃ、トイレの便座、上げておくわね」 だんだんわかってきますが、ローラの味方は女性たちでした。 いくら真面目に働いても、女性には昇給も昇任も...

クズって味わい深いものよ

〜キンキーブーツ㉒〜

クズって味わい深いものよ   ローラの姿が見えない。チャーリーは探し回り、薄暗いクズ置き場に しゃがみこんでいる彼を見つけた。 いぶかしむチャーリーに 「ここ、和むの。クズって意外と味わい深いものよ。はみ出し者も、 みんな友だち」 工場のどこにもローラの居場所はない。露骨な差別の目で見ら...