また帽子を買ってあげる

また帽子を買ってあげる

 

 

「ジョーは必ず私を連れていくわ」

「私がお世話をします」

「やめて、なぜそんなことをいうの」

ヘレンはアルバートの肩に抱きついて泣く。

雪が降ってきた。

「心配しないで。また帽子を買ってあげる」

アルバートのやさしさがつらい。

「いいえ。さようなら」

ヘレンの後ろ姿が寂しそうだった。

寂しいのはアルバートも同じ。部屋に帰って泣いた。

〜「アルバート氏の人生」〜

 

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