週末はマンガでエンジョイ!ーRikiのおすすめコミックー

楳図かずお「漂流教室」小学館文庫 全6巻
 
名作である。楳図の恐怖漫画を読んで育ってきた私には、貞子なんて恐るるに足らず、といっても良いほど、ほんっとに怖かった。その後の「まことちゃん」は痛快だったし、この「漂流教室」や「わたしは慎吾」を読んだ時には楳図の天才を確信した。
 
主人公の小学6年生の子どもたちは、突然の大爆発によって小学校ごと荒廃し砂漠化した未来世界に飛ばされてしまう。同じ世界に飛ばされながら、教師をはじめ とする大人は現実を前に理性を失い絶望する。残された子どもたちは自ら国をつくりコミュニティの力で生き抜くための方法を考えていく。飢餓、伝染病、殺 戮、内部対立と凄惨な事件。やはり楳図の描く世界は恐怖である。
主人公高松翔の母親に代表される過去の人類が遺したものによる救済は大きいが、結局未来は未知のものである。勇気と知恵で切り拓かねば生きることはできない。たとえどんなに希望はわずかであっても。
 
この作品を含めた一連の作品で1975年に第20回小学館漫画賞を受賞。