マルティーヌ・シュヴァリエ

ママ、やめてちょうだい

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」33

ママ、やめてちょうだい     アンヌの態度が変わった。 ニナが手伝うと言っても「けっこうです」 冷たく拒否する。 アルバムを詳細にチェックする。疑問が確信に。 部屋ではマドが動くほうの手で 狂ったように衣類を放り出している。 アンヌには母親に何...

向かいのドルンさんだ

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」32

向かいのドルンさんだ     マドのアルバムを繰っていたアンヌと息子。 「おばあちゃんだ。若いなあ」 「私くらいの時ね」 「この人、向かいのドルン(ニナの名前)さんだ」 息子が気づいた。 「この人?」 母は自分と同じ歳の頃、ニナを出会っている。 ...

父は母を虐待していた

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」31

父は母を虐待していた     「母は家族の犠牲になっていて、父は母を虐待していた。 でも母は別れなかった。 ある意味、立派だわ。父の死後、母は再婚しなかった。 父が最愛の恋人だったの」 虐待する男を最愛の恋人と思えます? 娘にしたら両親は仲のいい夫婦だ...

母はこの町を出たがっていた

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」30

母はこの町を出たがっていた     アンヌが話し始める。 「私はこの町が好きだけど、母は出たがっていた。 母は町を離れたくて、旅をしたがっていたの」 マドが打たれたように顔を上げたのに、 アンヌとニナは気づかない。 〜「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」〜 ...

薬の量を増やしたの

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」29

薬の量を増やしたの     ミュリエルはクビになった。 ニナの部屋のドアを睨みつけて去る。 徘徊があってから「薬の量を増やしたの」とアンヌ。 医者の指示だが、症状は悪化したようだとニナは報告する。 「夕食を一緒に」とアンヌは勧めた。 今ではすっかりニナ...

あなたが興奮させるからよ

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」27

あなたが興奮させるからよ     マドがいなくなった。 うろたえるミュリエル。 顔色を変えるアンヌとニナ。 「シャワーを浴びている間に消えたのです。 あなたが興奮させるからよ!」と ミュリエルは責任をニナに押し付けた。 部屋着のまま、ものも言えず...

彼女に必要なのは私

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」25

彼女に必要なのは私     ニナはミュリエルにキッパリ 「彼女に必要なのは私よ。私が毎日ここへくるわ」 ミュリエルは車の破損でクビにされそうだった。 仕事を失いたくない。こって牛みたいに踏ん張る。 「あなたは何も失わない。 あなたが受け取る分は私が払う...

思い出さない?私たちよ

〜 「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」24

思い出さない?私たちよ     ガタガタになった車にアンヌは怒り心頭。 「こんなこと許せないわ」 ミュリエルは盛んに言い訳するが、アンヌはおさまらない。 下の騒動をよそに、部屋にきたニナはマドに話しかけ、 写真を見せ、記憶を揺さぶる。 「思い出さない?...