レベッカ20160107

 

「結婚4日目に正体がわかった。レベッカは世間体が悪いから離婚はやめようといい、マンダレー(屋敷)を名所にし、人も羨む妻を演じると言った」

グレース・ケリーとかイングリッド・バーグマンとか、およそビッチと縁のなさそうな女優が、ヒッチコックのミューズでしたけど、じつは彼は悪女が大好きだった。
彼女らは泥棒であり、詐欺師であり、ウソつきで、不誠実で、男をふみつけにして喜んでいる性悪女を、ヒッチは堂々とヒロインにしています。
論より証拠、まずは「レベッカ」。
美貌と才知にあふれ、すべての人に慕われたという亡き妻レベッカを、夫マキシムはいう。
「わたしがレベッカを愛していたと? 憎んでいた! 愛情も貞淑さもない女だった」。
そんな妻に一時はのぼせた愚かさを夫は吐露します。
もちろんヒッチが吐露させているのは、「夫の愚かさ」ではなく、そんな女にコロリと騙された「男の愚かさ」です。

(「レベッカ1」)