クリスタ・コソネン

トーベの愛が眩しすぎた

〜「TOVE トーベ」(45)〜

トーベの愛が眩しすぎた   絵画のほか、トーベは小説の超短編を書き残している。 中でも改訳なった「誠実な詐欺師」は評価が高い。 海辺の兎屋敷に住む女性画家の物語は ムーミンに行き詰まったトーベがポスト・ムーミンとして 開いた新境地でもあります。 ヴィヴィカとアトスとは...

これを渡したかった

〜「TOVE トーベ」(43)〜

これを渡したかった   トーベの父親が亡くなりました。 生前厳しいばかりでトーベを褒めたことがなかった。 トーベも父を避けていた。 母親が「これを渡したかった」と言って見せた遺品は 娘の舞台公演のパンフレット、新聞の切り抜き、チケットの半券、 ありとあらゆるトーベの足...

トーベ、行かないで

〜「TOVE トーベ」(42)〜

トーベ、行かないで   「トーベ、行かないで。行っちゃダメ」 手を伸ばすヴィヴィカに「終わりよ」 ヴィヴィカはトーベに未練がありそうですが、 なぜトーベが「終わりよ」というのか、 多分わからなかったでしょう。好き同士なのだから いちいち別れなくてもいいではないか。 ...

華麗な竜が住む大自然に

〜「TOVE トーベ」(41)〜

華麗な竜が住む大自然に   その夜、トーベはヴィヴィカと一夜を共にする。 朝を迎えた。眠るヴィヴィカにささやく。 「帰してあげないとね。華麗な竜が住む大自然に」 トーベは38歳。ヴィヴィカは少し年上か。 ふたりとも、昔の恋愛時代ではありません。 アツアツだけで愛は成り...

誰よりもあなたを

〜「TOVE トーベ」(40)〜

誰よりもあなたを   トーベは告白する「愛している。誰よりもあなたを」 ヴィヴィカはどうか。 「私はパリを愛している。パリが好き」 ちょっとひどいのじゃありません? この数年間、ヴィヴィカを思い切れず やっぱり「誰よりも愛している」と言ったのに ヴィヴィカが愛し...

あなたに会えたから

〜「TOVE トーベ」(39)〜

あなたに会えたから   夜のセーヌ河岸を歩きながらトーベが訊く。 「幸せ?」 「幸せよ。あなたに会えたから」とヴィヴィカ。 苦い思いをさせられたヴィヴィカですが、 その分だけ、懐かしさが込み上がる。 「私、わからないの。イラストか、舞台か、作家か、絵描か」 目標...

トーベ、久しぶりね

〜「TOVE トーベ」(38)〜

トーベ、久しぶりね   トゥリッキーにパリの左岸を案内してもらったトーベは クラブに入ります。 アーティストたちが屯する独特の雰囲気。 そこでヴィヴィカと再会した。 女性と踊っていた。 昨日別れて今日あったように近づくと 「トーベ、久しぶりね。ココよ」と女友達を...

トゥーリッキよ

〜「TOVE トーベ」(37)〜

トゥーリッキよ   しかし説得が功を奏したのか、気が変わったのか、 トーベはパリに来ました。 賑わう展覧会の会場で出会ったのがトゥリッキーです。 のちにトーベのパートナーとなる女性。 アメリカのシアトル生まれのフィンランド人で、フィンランドの グラフィックアートでは有...

パリの展覧会には?

〜「TOVE トーベ」(36)〜

パリの展覧会には?   長年の友だちであるマヤがパリの展覧会に誘った。 彼女の夫や友人らも出展する。 「行かない」。相変わらず偏屈なトーベです。 そもそもパリはトーベの挫折の第一歩だった。 ヴィヴィカはパリに憧れ、大好きになり、 戻ってきたと思ったら「お持ち帰り」だっ...