マイケル・シャノン

「結婚してくれる?」「ええ」

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉛〜

「結婚してくれる?」「ええ」 庭の手入れをしているステイシーをローレルが部屋から見ている。セリフのないこのシーン、とてもいいのです。ローレルにはもう、思い残すことはない。自分たちの公平な権利として守りきった小さな家で、ステイシーはああして、庭の手入れをしながら穏やかに暮らしていける。終の住処として。自分がいな...
水

「満場一致、可決します」

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉚〜

「満場一致、可決します」 ローレルの細い声が言った。「私にはもう時間がありません。私は変化を求めています」デーンが、スティーヴンと彼の率いる支援団体が、ローレルの妹が、ステイシーの母が、ブライアン・ケルダーの娘が、新聞記者が、起立して見つめる警官たちが、固唾を飲んで回答を待っている。「満場一致、可決します」ス...

応援したい。文句ありますか

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉙〜

応援したい。文句ありますか ベルキンはゲイバーにいた若い警官です。ゲイであることを内緒にしてくれとローレルやデーンに頼んでいました。公開委員会の日。彼が黙って上着を着る。本部長が「どこへ行く?」「同じゲイとして応援したい。文句ありますか」返事を待たず出て行く。本部長のセリフがこうくる。「俺はしばらくオフィスに...

「私です。おや、秘密でしたか」

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉘〜

「私です。おや、秘密でしたか」 警察がローレルの味方についた。郡政委員会へ世論の攻撃が強くなる。デーンは年金受給者のデータを調べ上げ、複数受給しているのが他ならぬ郡政委員たちだと突き止め、新聞にバラしてやると脅しあげた。「複数の職にいたから複数の受給だ、おかしなところはない」しかし勤続23年のローレルの年金支...

ローレルに病気休暇の寄付を

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉗〜

ローレルに病気休暇の寄付を 保険会社が、病気休暇が消滅したら、保険の適用は効かないと知らせてきた。頭を抱えるステイシーに「俺に任せろ」とデーン。署に戻り「ローレル・ステイシーに病気休暇の寄付を」と掲示板に張り出した。警官は病気休暇を同僚に分けられる。ただし分けた日数は戻ってこない。ゲイの女になんでそこまでと同...

年金を複数もらう者

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉖〜

年金を複数もらう者 郡政委員の中で唯一、柔軟な考え方を示したのがブライアン・ケルダーです。娘が刑事になりたいと言っている、とローレルに紹介したパパですね。「良心はあるのか」と噛みつくデーンに顔を歪め「家では娘も妻も、ぼくを人でなしというのだ」これ以上勘弁してくれと逃げを打つ。ポロリともらす。「年金のない者、複...

あなたがた次第だ!

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉕〜

あなたがた次第だ! スティーヴンと彼の支援団体は公開委員会に乗り込み、正面に陣取り叫ぶ。「あなたがた次第だ。パートナー法を適用して、年金受給を認める選択肢がある。なぜそれを認めない。あなたがた次第だ!」「あなたがた次第だ」「恥を知れ!」デーンが立ち上がった。「ローレルは正義を信じている。私はローレルにいってや...

ローレルに正義を!

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉔〜

ローレルに正義を! スティーヴンは「ニュージャージー州の平等を求める会」を立ち上げ、公開委員会に押しかけた。「ローレルに正義を。みなさん、大声で!」「ローレルに正義を!」警察ではデーンが「委員会に出る奴はいないか?」みんな聞こえないふり。「逆の立場だったらローレルは仲間を助けた」「ゲイが死のうが、知ったこっち...
水

「人生は不平等」「そうだな」

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉓〜

「人生は不平等」「そうだな」 ガンが脳に転移し、ローレルは意識を失ったのです。病院に搬送されたローレルをデーンが見舞う。「ステイシーのことが心配」ローレルは自分のことなど心配していないのですね。最愛のパートナーを残していくことだけが気がかり。「若いのに、辛い目にあって」「必死で耐えている」とデーン。「人生は不...

「行け!」

〜「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」㉒〜

「行け!」 もう一人、いい男がいます。ステイシーを即採用した自動車整備工場のオーナーです。ある夜、工場に車に乗り込んだ数人の男たちが押しかけ口々にわめいた。「同性愛者はこの町から出て行け」ステイシーの後ろからオーナーが鉄の棒を手に飛び出し「お前たちこそ失せろ!」怒鳴り飛ばしたのだ。男たちは退散し「大丈夫か?」...