バンジャマン・ボワザン

思い出した

〜「Summer of 85」(44)〜

思い出した   海岸でゴミ拾いの社会奉仕活動していたアレックスは 堤防に座る青年に声をかけます。 「やあ、思い出した。友達と酔った君を介抱したね」 むさ苦しい髭をさっぱり剃り落とした彼は、 なかなかのイケメンです。 「海に出ないか。カリプソというヨットがあるんだ」 ...

捕まえろ、抵抗するな

〜「Summer of 85」(41)〜

捕まえろ、抵抗するな   ダヴィドは幻想だったのか。 アレックスは真夜中に、彼の墓の(土の)上で激しく踊ります。 まるで幻想という思いを振り払うように。 虚実混淆する微妙な心のうつろい、 心のひだを掠める繊細で複雑な移ろいに人間の真実はある、 オゾン監督はそう捉えてい...

僕が作った幻想?

〜「Summer of 85」(40)〜

僕が作った幻想?   「私たちが思っていたのとは、彼は別人だったのよ」 「ダヴィドは僕が作った幻想?」 愛する相手だと言っても、必ずしも私たちは 彼や彼女を理解していたとは言えない、 そこには必ず自分の作り上げた想像上の像がある、 と言うのはオゾン監督の持論です。 ...

彼は存在しなかった?

〜「Summer of 85」(39)〜

彼は存在しなかった?   まだ墓の上で踊っていないと悩むアレックスに 「あなたが愛しているのは彼じゃない」とケイトは言う。 「顔と体が好きになって心も理想通りだと期待したのよ」 「彼は存在しなかった? 僕は彼と一緒にいて愛し合った。君も彼と寝ただろ?」 アレックスはま...

何をする、あ、カツラだ

〜「Summer of 85」(37)〜

何をする、あ、カツラだ   ケイトは策を講じ、アレックスに女装させ、 遺体安置所の守衛に、この人は家族だとごまかし 中に入れてもらいます。 寒々とした無機質な安置所には棺が壁面に 嵌め込まれています。 ダヴィドの遺体が引き出された。 アレックスは感極まり、馬乗り...

遺体安置所

〜「Summer of 85」(36)〜

遺体安置所   「親友以上? ごめん、気がつかなくて」とケイト。 「アレックスは君とも寝たから、それでケンカに」 ダヴィドが死んだ今は、過去に何があったとしても 二人はまるで思い出を語り合う戦友みたいになっています。 ダヴィドとの誓いがまだ残っている。 でも母親が遺体...