アカデミー

「…なあに」「…別に」

〜キャロル⑩〜

  「…なあに」「…別に」 この映画は劇場で見て、DVDはまだ発売されていません。 記憶にある限りのセリフを、メモを起こして書いてきました。 もっとあったいいセリフや、魅力のある登場人物はまたの機会に譲りたいと思いますが、今回のおしまいはこれ。 キャロルは自分を裏切った、置き去りにした、でも...

そこで寝なくていいのよ

〜キャロル⑨〜

  「そこで寝なくていいのよ」 夫が放った探偵がキャロルとテレーズの一夜を盗聴したのがわかった。 離婚の係争で、娘の親権を手放さないために戦っていたキャロルは、夫側の弁護士が攻撃の的にする「妻の女性問題」で、決定的に不利になります。 テレーズは自分が軽率にも旅行を承諾したからだと自己嫌悪に陥る...

消さないで、あなたを見たい

〜キャロル⑧〜

  「消さないで、あなたを見たい」 全編の白眉はこのラブシーンだとしても異論の方は少ないと思われます。 自分が愛されていないのではないか、キャロルは自分をもてあそんでいるだけではないか、いつか自分を棄てるのではないか、そんな不安からどうしても自由になれなかったテレーズが、キャロルの愛を確信し、大...

でも今年はそうじゃない

〜キャロル⑦〜

  「新年はいつもひとりで迎えました。人ごみの中で。でも今年はそうじゃない」 キャロルは結婚に失敗し、むなしい日を送っている。 テレーズも自分の将来と、キャロルへの愛に不安を持っている。 旅に出た二人は大晦日の夜を迎える。 「夫婦で大晦日を過ごしたことはなかった。夫は接待とパーティーで家にい...

623号室、ミセス・エアード

〜キャロル⑥〜

  「623号室、ミセス・エアード」 テレーズとキャロルは初めて会って1か月になるかならないかのときに旅行に出ているのですね。 その短い期間に、若いテレーズが、キャロルの性格を的確に理解していることを、映画はきめ細かく映しています。 考え事をしていたら鍋を煮立たせてしまう、平気でドアを足で閉め...

スイートにすれば? 割安なら

〜キャロル⑤〜

  「スイートにすれば? 割安なら」 離婚係争中のキャロルは娘の親権でこじれ、最愛の娘を、手放すことになるかもしれない不安でいたたまれない。 動揺をまぎらすように、旅行にテレーズを誘う。 「よかったらいっしょに行かない?」 テレーズはまっすぐキャロルを見て「ぜひ」短く答える。 ルーニー・マ...

キャロルへ。テレーズより。

〜キャロル④〜

  「キャロルへ。テレーズより。」 キャロルが好きでたまらないのだけど、キャロルは自分をどう思っているかわからないことが、テレーズを不安にさせています。 キャロルとテレーズはひとまわり以上年齢がちがいます。 キャロルの成熟度に比べたら、テレーズはコドモに近い。 世慣れた受け応えや、感情の表し...

今ほど目覚めたとき、ないわ!

〜キャロル③〜

 「今ほど目覚めたとき、ないわ!」テレーズにはリチャードという恋人がいる。 あなたを好きだけれど愛していないとテレーズは言う。 リチャードはキャロルのせいだと思いこむ。 「まるで夢中じゃないか。あの女性のどこがいいんだ、棄てられるぞ、目を覚ませ」 テレーズはもの静かな女性ですが、ことキャロルへの侮辱を感じとる...

「あなたは?」「キャロル」

〜キャロル②〜

  キャロルがデパートの売り場に忘れた手袋をテレーズは送り返してあげる。 お礼の電話が入り、昼食をいっしょに取ることになる。 テーブルに座り、てきぱき注文するキャロル。 テレーズは「同じものを」としか言えない。 ドンくさいのではなく、緊張して上がっているからですね。 キャロルがテレーズに名前を...

このお人形、探していただける?

〜キャロル①〜

  「このお人形、探していただける?」 キャロルとテレーズが初めて交わす言葉です。 娘のクリスマス・プレゼントを探しにデパートに来たキャロル。 人形売り場にいたテレーズ。 フロアに入ってきたキャロルをテレーズが凝視する。 キャロルの注文に「あいにく在庫を切らしています」 「そう。もっと早...