CCH・パウンダー

ここで働いているのか?

〜「バグダッド・カフェ」(21)〜

  ここで働いているのか?   カフェに何台もトラックが停まる。店は大繁盛だ。 保安官のアーニーが顔を出した。 「ここで働いているのか?」とジャスミンに訊く。 「労働許可証は? ビザも切れている。 すまんが、報告せねば」 強制退去だ。 ジャスミンはシ...

あそこで一休みしようぜ

〜「バグダッド・カフェ」(20)〜

  あそこで一休みしようぜ   もうもうと砂煙を上げて走る、大型トラックの運転手同士が 無線で話している。 「お前、ブレンダの店を知っているか。 ベガスのショーなんか、目じゃないぜ」 「場所はどこだ」 「バグダッドだ。あそこで一休みしようぜ」 荒野に...

バグダッド・カフェだ

〜「バグダッド・カフェ」(19)〜

  バグダッド・カフェだ   手品を見せるバグダッド・カフェはだんだん、 運転手仲間の評判になってきた。 ジャスミンはフィリスやバーテンを相手に手品を見せ、 ますます腕をあげ、 運転手たちで満員になったカフェは 拍手と笑い声が耐えない。 ブレンダも笑...

こんばんは、ミス・ジャスミン

〜「バグダッド・カフェ」(18)〜

  こんばんは、ミス・ジャスミン   ジャスミンとブレンダの溝は埋まった。 カフェが夕暮れ時にオープンする。 「こんばんは、ミス・ジャスミン」 「こんばんは、ミス・ブレンダ」 お互いは礼儀正しく笑顔で挨拶し、接客に向かう。 バグダッド・カフェはハイウェイ沿...

呆れた女だ、何が狙いだい?

〜「バグダッド・カフェ」(17)〜

  呆れた女だ、何が狙いだい?   サロモの赤ん坊をあやしているジャスミンに ブレンダが噛み付く。 「呆れた女だよ、何が狙いだい。あたしをコケにして。 出てっておくれ。 出ていかないと、でかいケツを銃で吹き飛ばすよ」 それだけでは言い足りず「遊ぶなら自分の...

エリック、ジャスミンよ

〜「バグダッド・カフェ」(16)〜

  エリック、ジャスミンよ   カフェの外で、娘のフィリスがエリックとブーメランをしていた。 エリックとはヒッチハイクでやってきた青年だ。 フィリスと仲良くなったらしい。 「エリック、ジャスミンよ」とフィリスが紹介した。 ジャスミンはブーメランを試み、練習してい...

彼女は音楽をわかってくれる

〜「バグダッド・カフェ」(15)〜

  彼女は音楽をわかってくれる   サロモがピアノを弾いていた。 ジャスミンがきて止めようとしたら「続けて」と言われた。 ジャスミンは目を閉じ、うっとりと聴く。 神々しいまでのジャスミンに、ルディは恍惚と見惚れる。 「どこから」とジャスミンに訊く。 「ババ...

これで友だちよ

〜「バグダッド・カフェ」(14)〜

  これで友だちよ   ジャスミンの部屋にフィリスが掃除にきた。 珍しそうに持ちものや壁にかかっている衣類を眺める。 手に触れて、ローハイドみたいな革のズボンを当てる。 「何をしているの?」と入ってきたジャスミンが尋ねる。 フィリスはバツが悪そうに「ちょっと」言...

お客様がいるときはおよし

〜「バグダッド・カフェ」(13)〜

  お客様がいるときはおよし   息子のサロモがピアノを弾いている。 「サロモ、お客さまがいるときはおよし」ブレンダが止めた。 カフェにいたのはジャスミンだ。 「ふん、あんなデブ女」 娘が娘なら、息子も息子。まったく品下る連中です。 「お金を払ってくださる...

散らかさないで!

〜「バグダッド・カフェ」(12)〜

  散らかさないで!   「ここ、どうしたの?」 見違えるほどさっぱりしたオフィスに、娘が不思議そうに訊く。 ブレンダはどう出たか。 「散らかさないで!」と娘を一喝したのだ。 ブタ小屋みたいに散らかし放題にしていたのは誰だ。 「片付けて、お客用のオフィスだ...