監督 吉野竜平

見た、見たからズボン履け!

〜 「君は永遠にそいつらより若い」13

見た、見たからズボン履け!   バイト仲間の安田が無断欠勤だ。ホリガイはアパートを訪ね 飲みに誘う。 彼の悩み「俺、童貞なんです」 「まだ20歳だろ」 「違うんです、デカすぎて相手がいないんです、 真剣に好きなのにできないことが、絶望的に苦しいんです」 窮したホ...

私が彼女?やめといた方がいいよ

〜 「君は永遠にそいつらより若い」12

私が彼女?やめといた方がいいよ   寒い夜だ。ベイエリアにいるホリガイがイノギさんに電話した。 江ノ島にいた。 「何してんの?」 「ボ〜と海、見てる」 「彼氏と?」 「いない。小豆島の海とは違うなあ、全然」 「私は今、イノギさんみたいな彼女が隣にいてほしいよ」 ...

ホミネ、あいつ、死んだ

〜 「君は永遠にそいつらより若い」11

ホミネ、あいつ、死んだ   吉崎が言った。 「ホミネって覚えてる? あいつ、死んだ。バイク事故だって」 ホリガイ、呆然。 「実家が島根なんだ。俺、行ってくるわ」 ホミネに話すはずだった児童福祉士への志望動機は 話せないまま、宙ぶらりんになった。 ショックだ。 ...

戦う前から負けることを前提に

〜 「君は永遠にそいつらより若い」10

戦う前から負けることを前提に   ゲームはあまり好きじゃない、とホリガイ。 「戦う前から負けることを前提にしている精神構造なんですよ、 私って女は」 理由は小学生のとき、一人の男子と大喧嘩した、明らかに 落ち度は相手にあったのに、もう一人の男子がいきなり参入し 脇腹を...

未解決の少年失踪事件

〜 「君は永遠にそいつらより若い」9

未解決の少年失踪事件   カフェバーで、お互いの身の上に触れる。 ホリガイ「親が離婚して、母と祖母の3人暮らしよ。 家は和歌山」 イノギさん「私は小豆島」 何となくウマがあってアルコールが進み、 酔い潰れたホリガイはイノギさんの部屋で目が覚める。 「すごい家だね...

ノートのお礼、させてよ

〜 「君は永遠にそいつらより若い」8

ノートのお礼、させてよ   その夜の8時にノートを返すとホリガイは約束、 駅前の待ち合わせ場所で、バイト帰りのイノギさんと会った。 「じゃ」スタスタ別れようとするイノギさん。 「あっ、ちょっと。バイト代が今日、出たんだけどさ、 何だったら、ノートのお礼、させてよ。 お...

めちゃ、気持ちよさそう

〜 「君は永遠にそいつらより若い」7

めちゃ、気持ちよさそう   女子学生がナイフを振り回し叫んでいた。 周りを3、4人の男子がナイフを取り上げようと囲むが えらい勢いで近づけない。 教室では遠巻きにした全員が「ジ〜」。 男子がやっと押さえつけ、ナイフを奪った。 「めちゃ、気持ちよさそう」とイノギさんがつ...

あの〜、すみません

〜 「君は永遠にそいつらより若い」6

あの〜、すみません   自転車を飛ばしてきたが授業は終わったあと。 ホリガイ、哲学科の学生を見つける。 これがイノギさんだった。 「あの〜、今の授業のノート、コピー取らせてもらえませんかね」 泣きそうな顔に「え?」 「ノート、コピらせてもらえませんかね」 手を合...

ただでは渡せないね

〜 「君は永遠にそいつらより若い」5

ただでは渡せないね   ホリガイがオカノにアンケートを回収しようとした。 すごい、30人分はある。よく協力してくれた。 ありがたく手を出すと 「タダでは渡せないね」オカノは用紙の束を引っ込めた。 ホリガイ、人差し指と親指で小さな丸を作り 「お金?」 「違う、明日...

ボンヤリと、白アリのように

〜 「君は永遠にそいつらより若い」4

ボンヤリと、白アリのように   ここはホリガイの散らかった部屋。 「大学4年の夏、奇跡的に県職員の内定を受けた私は、 来春までの時間を、ボンヤリと白アリのように食い潰して」 いる人生の無風状態。 ホリガイという子は、 チャラけた雰囲気をまといながら、キャパオーバーに陥...