監督 アニエスカ・ホランド

泣き声を出すな!

〜「太陽と月に背いて」㊴〜

  泣き声を出すな!   アフリカに行かないでくれと訴えるヴェルレーヌに 「泣き声を出すな!」 「拳銃を買った」 「弾丸も買っただろうな」 「行かせはしないぞ」 自分の思うようにしか生きないランボーをいくら止めても無駄、 とどこかではわかっていても、別れたりくっついたりを ...

俺を捨てるなら君を殺す

〜「太陽と月に背いて」㊳〜

  俺を捨てるなら君を殺す   アフリカへ行くというランボーをヴェルレーヌは懸命に止めにかかる。 「俺を捨てるなら君を殺す。1人になるのは辛い。 誰かいないとダメなんだ」 鋭いランボーがヴェルレーヌの本音を見抜けないはずがない。 誰かいないとダメ? じゃ僕以外でもいいのだな、こ...

遠すぎる…

〜「太陽と月に背いて」㊲〜

  遠すぎる…   アフリカ行きは「いやだ」 「どうしてだ」 「遠すぎる」ヴェルレーヌは寂しそうにつぶやきました。 遠すぎる。慣れ親しんだフランスからも、家からも、家族からも。 ヴェルレーヌは離婚を申請されていましたが、ランボーのような 破滅型ではありません。妻には傲慢で暴力...

今から夏だ。アフリカに行こう

〜「太陽と月に背いて」㊱〜

  今から夏だ。アフリカに行こう   「今から夏だ。アフリカに行こう。夏のアフリカへ」 「君の憧れの地だ」 ヴェルレーヌはのちにランボーを「偉大なる魂」と呼びました。 2人は惹かれあったけれど性格は逆でした。 ヴェルレーヌは落ち着いた生活を基盤に創作する。 ランボーは安定を嫌...

非情な男だ

〜「太陽と月に背いて」㉟〜

  非情な男だ   ヴェルレーヌは「女房に手紙を書いた。 3日以内にこなければ自殺すると」 「自殺しなかったな。みじめだぜ。何人に自殺すると手紙を出した?」 「非情な男だ」 「非情だと? 僕を置き去りにしたり、また呼んだり、 女房に手紙を書いて自殺だの、義勇兵だの、それが全部...

2年も一緒に暮らしたのに

〜「太陽と月に背いて」㉞〜

  2年も一緒に暮らしたのに   ブリュッセルに投宿したヴェルレーヌをランボーが追いかけてきます。 ビンタを張って殴り合いになります。 「2年も一緒に暮らしたのに」 「明日パリへ戻る」 「いかん、やめろ」 「二度と捨てない」 「当たり前だ。そんなことさせない」 「君も悪い...

ポール、戻って来い

〜「太陽と月に背いて」㉝〜

  ポール、戻って来い   船のへさきに座って遠のくヴェルレーヌにランボーは絶叫する。 「ポール、戻って来い、悪かった、ごめんよ。 一人では暮らせない」 一人では暮らせないと言う本音は、 金主がいなくなるからか、ヴェルレーヌがいないと寂しいからか、 どっちも本当でしょうが、 ...

ははは、最低の格好だ

〜「太陽と月に背いて」㉜〜

  ははは、最低の格好だ   魚市場に来たヴェルレーヌは店頭の魚を見ている。 「新鮮かね?」と店主に尋ね、魚を買って帰る。 窓から見ていたランボーは 「ははは」大笑いをし、「最低の格好だ」 またも嘲笑を浴びせる。 今度こそ堪忍袋の緒が切れた。 ヴェルレーヌは酒ビンと魚を投げ...

例えば生活費だ

〜「太陽と月に背いて」㉛〜

  例えば生活費だ   「その僕だが、似たようなものだ」とランボー。 「そうだ」ともちろんヴェルレーヌは肯定する。 「だがどうして一緒にロンドンに来た」の問いに 「君(ランボー)にとっては通過の1つだろう。ここに沈潜して やがて詩壇に高い地位を獲得する。 俺と暮らすのは理由の...

相手はハゲで醜い

〜「太陽と月に背いて」㉚〜

  相手はハゲで醜い   「相手はあてもない貧乏暮し。ハゲで醜い。酔っ払いの叙情詩人。 僕から離れられず、女房にも見捨てられた」 ランボーって残酷ですね。 ヴェルレーヌが自分を愛していることにつけあがっています。 「よく言えたものだ」かろうじてそう返す。 でもランボーはやめな...