レア・セドゥ

三言だけ、昔からそう

〜たかが世界の終わり⑪〜

三言だけ、昔からそう   「三言だけ」と母親が言うのは、昔からはルイは受け答えを三言で すませるかららしい。 会話が成り立つことばの量か、そうでないか、わかりませんが、 母親としてはもっと話してほしいにちがいない。 息子のことを知りたい、自分のことも知ってほしい。 でもルイは「答える言葉...
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夫の仕事が何か知っています?

〜たかが世界の終わり⑩〜

夫の仕事が何か知っています?   あなたは家族の何を知っているか、夫の仕事を知っているか、他のことも、 と逆に兄嫁は訊きます。 ルイは答えられない。彼が家に帰ってきて、まるで捨てられたような扱いを受けているのは、 先に彼が家族を捨てたからです。 それを誰も責めていないけれど、兄貴も妹も根が...

そんなこと言うの、おかしいわ

〜たかが世界の終わり⑨〜

そんなこと言うの、おかしいわ   兄嫁っていう人、とてもいい性格だと思うのです。 ルイはこう言います。 「僕が子供に無関心だなんて、兄はあなたが僕を嫌うように仕向けたのかも。 僕は兄さんをよく知っている」 どことなく、女性の心のヒダに入ってくるような言い方だと思いません? 兄嫁という女性...

何を言えばいいの?

〜たかが世界の終わり⑧〜

何を言えばいいの?   ルイは家族の話の輪に入っていなかった兄嫁を心配し 「大丈夫?」とやさしく訊きます。 「ええ。なぜ?」 「あまり話をしていなかったから」 「いつものことです。何を言えばいいの?」 兄嫁は落ち着いています。マリオン・コティヤールの自然体が、 聡明で素朴な女性像をよく...

なぜここに来たの?

〜たかが世界の終わり⑦〜

なぜここに来たの?   みな腹の中では、ルイが帰ってきたのは何か理由があるとわかっています。 でも誰もそれに触れない。 兄貴なんか、下手にきいて巻き込まれるのはイヤだ、と思っている。 だから早く出て行って欲しくて仕方ない。 ルイとは初対面の兄嫁が素直に訊きました。 「なぜここに来たの?」...

私たちなりに兄さんを賞賛してる

〜たかが世界の終わり⑥〜

私たちなりに兄さんを賞賛してる   妹のシュザンヌにとってルイは憧れです。 でも子供の頃に彼が家を出たから、具体的には何も知らない。 情報といえば、新聞で読んだり、舞台化された劇をみたり、だったのでしょう。 でも12年間、一度も帰ってこなかった兄に不満もある。 「兄さんは才能に恵まれている...

兄さん、意地が悪いな

〜たかが世界の終わり⑤〜

兄さん、意地が悪いな   兄に怒鳴られてオロオロする兄嫁がルイは気の毒に思う。 母親が娘の話をするくらい、いいじゃないか。 「兄さん、意地が悪いな」一言いうと、向きを変え妹に逆噴射。 「ケバイ化粧しやがって、まるで売春婦だ!」 ネズミ花火みたいに、ぱちぱち火花を撒き散らしながら、どこへ飛ん...

大事なことは忘れたいんだ

〜たかが世界の終わり④〜

大事なことは忘れたいんだ   兄の性格をよく表すセリフ。 現実逃避型、あるいは露悪型タイプです。 妻がルイに「娘は8歳になりました」と言っただけで、 「ルイが退屈しているのがわからないのか!」と怒鳴りつける。 で、ルイに穏やかに接するかというと、とんでもない。 実に屈折した兄貴でして、底...
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お前は黙ってろ!

〜たかが世界の終わり③〜

お前は黙ってろ!   一言口を挟んだ妹に兄貴の一撃。 兄貴にヴァンサン・カッセル、 妹のシュザンヌにレア・セドウ。兄嫁のカトリーヌは マリオン・コティヤール。母のマルティーヌはナタリー・バイ。 豪華配役陣です。草も木もグザヴィエになびくのかい。 兄貴が怒鳴っても元気印の妹は応えない。 ...

ゲイは美しいものが好きなの

〜たかが世界の終わり②〜

ゲイは美しいものが好きなの   ルイのギャスパー・ウリエルが終始ウツ状態で演じます。 彼の死期が近いことなど、受け入れる家族は知らない。 誰でも経験があると思いますが、自分自身では大問題だけど、 周囲の人や社会からすれば「たかが」っていう落差、けっこうありますね。 母マルティーヌは精一杯お...