リン・トンフー

彼女は飲めないから私が

〜「中国の植物学者の娘たち」(30)〜

  彼女は飲めないから私が   婚礼の宴。新郎タンが来賓に謝辞を述べ、乾杯! 杯を掲げた。 アンが兄に「彼女は飲めないから、私が」 そう言って杯を取り、自分の分も合わせ立て続けに2杯。 リー・ミンと兄の固めの杯をさせたくなかったようにも見えます。 中国の「カンペ...

来ると思ったから待っていた

〜「中国の植物学者の娘たち」(29)〜

  来ると思ったから待っていた   植物園に長い橋がかかっている。 アンがいる。リー・ミンが見えた。 「来ると思ったから待っていた」 アンはいつものように、額をリー・ミンのそれにコツン。 二人は橋を渡りかけるが、リー・ミンが意を決したように立ち止まる。 「...

いったいどういうことだ

〜「中国の植物学者の娘たち」(28)〜

  いったいどういうことだ   教授がお茶を淹れてくれと頼む。 アンが運んできたお茶を一口含んだ教授はアンを呼びたてた。 「茶の葉が入っていないぞ」 うつむくアンに「いったいどういうことだ。昼から泣き通しだろ」 アンの悄気ぶりに「どういうことだ」ですませる教授も...

息子の大事な結婚式だ

〜「中国の植物学者の娘たち」(27)〜

  息子の大事な結婚式だ   植物園は結婚式の準備で大わらわ。 「もち米を10キロ、増やせ。息子の大事な結婚式だ」 パパ教授が陣頭指揮だ。 「アン、アン、僕のネクタイは?」兄タンの呼ぶ声がする。 聞こえているがアンは座ったまま涙ぐんでいる。 リー・ミンに兄...

兄と結婚すれば願いは叶うわ

〜「中国の植物学者の娘たち」(26)〜

  兄と結婚すれば願いは叶うわ   求婚されたけど断った、とリー・ミンが言います。 アンはリー・ミンを見つめ 「兄と結婚すれば私たちの願いは叶うわ」 とまどうリー・ミンに 「兄は一介の兵士で士官じゃない。妻子を連れてチベットへは行けない。 兄と結婚すれば崑...

一生離れないためには?

〜「中国の植物学者の娘たち」(24)〜

  一生離れないためには?   ワン先生は鳩を飼っています。 「観光客が願い事をしたら鳩を放す、願い事によって放す鳩の数が違う」 アン「二人が一生愛し合うには何羽放すの?」 「64羽」 「二人が一生離れないためには?」 「108羽。演技のいい数字で大蔵経典...

泣いたのね

〜「中国の植物学者の娘たち」(22)〜

  泣いたのね   アンとリー・ミンが食堂で食事しています。 周囲は男性ばかり。盗みみるように伺うのは、女性が外食する習慣が ないからでしょうか。 それとも女性二人だけというのが異様な光景なわけ? よくわかりませんでしたが、二人は気にせず食べる。 「餓死寸...

アーン、アーン!

〜「中国の植物学者の娘たち」(21)〜

  アーン、アーン!   ワン先生が大声で呼んでいる。 「アーン、アーン!」 窓の扉が開き、腫れぼったい目をしたアンが首を出す。 見上げているのはワン先生とリー・ミンだ。 (わかっている、わかっている)というふうに リー・ミンは穏やかに微笑んでいる。 ...