ミア・ファロー

俺のものだ、と思った

〜「秘密の儀式」⑳〜

  俺のものだ、と思った   「オーストラリアの奥地では、今も娘が父親の暴行を受けている」 アルバートは毒々しく近親相姦をほのめかす。 ロバート・ミッチャムの、ぬるぬるした表情。 卓抜な俳優だと思います。 「最初に会った時11歳だったお前は手すりを滑り降りてきた。 俺のものだ...

女として扱うことを許さなかった

〜「秘密の儀式」⑲〜

  女として扱うことを許さなかった   レオノーラが叔母宅を訪問して留守の間にアーノルドが来た。 「母さんは? あの恐ろしい病気はどうなった」 元妻マーガレットが死んだことを知らないようです。 チェンチはレオノーラが母親だと思っているから、 実の母が死んだと認めない。 「奇跡...

なんてひどい人たち!

〜「秘密の儀式」⑱〜

  なんてひどい人たち!   「イカれてると、若く見えるのよ」 チェンチを嘲笑する叔母さんたちにレオノーラは怒りが爆発する。 「なんてひどい人たち。なぜ何もしなかったの。 あなたたちはチェンチを見捨てたのよ! 娘を残して死ぬ母親も許せない。なぜ医者か警察に電話しなかったの!」 ...

22歳は過ぎているはずよ

〜「秘密の儀式」⑰〜

  22歳は過ぎているはずよ   叔母さんたちはアルバートをこき下ろす。 「臭いパイプ。わざとらしい歩き方。マーガレットは見たの。 彼が台所でチェンチに触るのに。マーガレットが出て行ってと叫んだ」 「チェンチはまだ子供でしょう」レオノーラが遮ると 「子供? 22歳は過ぎているは...

母親に心酔していたの

〜「秘密の儀式」⑯〜

  母親に心酔していたの   叔母さんが言う「チェンチは母親に心酔していたの。お葬式の前の夜、 チェンチは棺の横に座っていた。あの顔は一生、忘れない。 あの頃からチェンチは不安定になった」 寄る辺ない孤児。棺にひとり寄り添うチェンチを想像してレオノーラは 胸が痛くなる。うって変...

チェンチが相続した、すごい額を

〜「秘密の儀式」⑮〜

  チェンチが相続した、すごい額を   「チェンチが財産を相続したの。すごい額よ」 叔母さんふたりは欲の皮が突っ張っています。レオノーラが 「実は私もチェンチと合わなくて」と水を向けたものだから滔々と 喋り出します。 「マーガレットは最期の3か月は家に閉じこもったまま。使用人は...

マーガレットの従妹です

〜「秘密の儀式」⑭〜

  マーガレットの従妹です   レオノーラは大胆にもチェンチの叔母、ハンナとヒルダを訪問した。 「あんた、誰?」「レオノーラ。マーガレットの従妹です」 疑り深そうにレオノーラをジロジロ見ながら 「まあ、マーガレットの服だわ」「チェンチにもらいました」 途端に叔母たちの態度が軟化...

どんな声?

〜「秘密の儀式」⑬〜

  どんな声?   チェンチはレオノーラにしつこく義父とのセックスについて尋ねます。 レオノーラを母親だと思いこんでいる。 「アルバート義父さんは上手だった?  グスタフ父さん(チェンチの実父)より上手?」 見も知らない男たちとのベッドの事を聞かれても答えようがない。 レオノ...

人が訪ねてきたの

〜「秘密の儀式」⑫〜

  人が訪ねてきたの   自分の留守中「人が訪ねてきたの」とレオノーラがいった。 「アルバート? 知らないわ」 言いながらチェンチは倒れてしまう。 アルバートはチェンチの義父だ。 レオノーラは何も聞かないうちに、ドロッとした感触を覚える。 普通の関係ではないと、レオノーラの鋭...

お金を預からせて

〜「秘密の儀式」⑪〜

  お金を預からせて   チェンチが大金を持って帰ってくる。 「どうしてそんな大金を」驚いてレオノーラが訊く。 「銀行よ」 月々の生活費を引き下ろしにいったのかもしれない。 しかし生活者としてのレオノーラの常識は 「そのお金を預からせて」という。もたせていたら危ない。 「い...