フローリア・シジスモンディ

ほとんど下着じゃん!

〜「ランナウェイズ」㉑〜

  ほとんど下着じゃん!   シェリーのステージ衣装を見たジョーンは 「ほとんど下着じゃん!」 「大人の男の脳ミソで考えた。これで出る」 「ストリップ小屋に?」 「セクシーでしょ」 コルセットと黒のガーターベルトは衝撃的だった。 シェーンは考え抜いた。ロックは暗闇の叫びだ。...

売りはなんだ!

〜「ランナウェイズ」⑳〜

  売りはなんだ!   もう一人冷静きわまる男がいました。キムです。 ロックバンドの盛衰を見てきたこのディレクターは 輝き続けることができるのは輝きを放ち続けることだという シンプルな真実を知っていました。 「売りはなんだ!」 それをつかめ、それを作り出せ、作り出したら磨き続...

大人の男の脳ミソで考えろ

〜「ランナウェイズ」⑲〜

  大人の男の脳ミソで考えろ   「大人の男の脳ミソで考えろ!」 キムはそういうが、15〜16歳の女の子が、激変した環境に すぐ順応できるとは限らない。 「どうした、シェリー。疲れたか。退屈か」 仲間からも批判が出た。 「シェリーのやる氣のなさ、ロックへの不遜さが商品をダメに...

日本へ連れて行かないつもり?

〜「ランナウェイズ」⑱〜

  日本へ連れて行かないつもり?   日本公演が決まった。 出発の用意をするシェリーに、姉マリーが 「日本に連れて行かないつもり?」 「誰も家族とはこない」とシェリー。 「ランナウェイズ」のメンバーは家族に執着が薄い。 そんな空気を知っていてシェリーは言っている。 「また私...

世界を引き裂ける

〜「ランナウェイズ」⑰〜

  世界を引き裂ける   ワイルド、ノーブラ、ガツンと教えるガールズバンド、確かな演奏力、 ロック界唯一の希望、反乱の女王たち再噴火… 社会は「ランナウェイズ」を受け入れました。 眉をひそめられていた女の子たちが、70年代の潮流をかき回した。 門限も守らず、あるいはそれを守らせ...

このバンドが新しい理想だ

〜「ランナウェイズ」⑯〜

  このバンドが新しい理想だ   ランナウェイズは「女の子」のイメージを変えた。 男の後についていく女じゃない、目指すものが何もなく、 世間が決めたレールの上に乗っかる女でもない、 どこにもないものを作れる。 このバンドが新しい理想だ。音楽評論家たちは注目した。 「ランナウェ...

すぐハリウッドに戻る!

〜「ランナウェイズ」⑮〜

  すぐハリウッドに戻る!   「あのフランケン野郎、マーキュリーレコードだって!」 部屋に入るなり、ジョーンが叫ぶ。 シェリーがムクッ「契約なの!」 キムがやったのだ! 「そう、すぐハリウッドに戻る」 ベッドで飛び跳ねるシェリーの脚をすくって倒し、 ジョーン、しっかりとキ...

口、開けてみな

〜「ランナウェイズ」⑭〜

  口、開けてみな   ホテルに来たシェリーが姉に電話する。 「一人部屋でプールもバーもあるの」 ウソ。5人で一部屋。狭苦しい木賃宿だ。 バーもなし。プールは水浴び用みたい。 ジョーンがプールサイドに腰掛け水鉄砲でカクテルを飲んでいる。 「口、開けてみな」シェリーにいい、水鉄...

どうせ場末のホールでしょ

〜「ランナウェイズ」⑬〜

  どうせ場末のホールでしょ   シェリーが荷造りしている。 ツアーに出発する妹を姉のマリーが冷ややかに見ている。 「それダメ、気にいっているのだから」 マリーが止める。シェリーがトランクに入れかけた赤い服だ。 「どうせ場末のホールでしょ」 冷ややかに言い、でも姉は黙って赤い...

黒髪のロックの神童

〜「ランナウェイズ」⑫〜

  黒髪のロックの神童   メンバーのニックネームをキムが決めた。 ヴォーカル:シャーリー・カーリー「トレーラーのバルドー」 リズム・ギター:ジョーン・ジェット「黒髪のロックの神童」 ドラム:サンディ・ウェスト「怒れるミス・カリフォルニア」 リードギター:リタ・フォード「リッチ...