フェリックス・ルフェーブル

僕が死ねば彼に会える

〜「Summer of 85」(35)〜

僕が死ねば彼に会える   自分も死ねば彼に会えるという考えに取り憑かれたアレックス。 唯一の自助方法は彼と自分の物語を書くことで昇華することだと 悟ります。 「若きウェルテルの悩み」と同じですね。 「ウェルテル」を自殺させることで 青年ゲーテは自分の自殺を乗り越えた。...

会わせない、絶対に

〜「Summer of 85」(34)〜

会わせない、絶対に   アレックスはダヴィドの幻影を抱きしめます。 「ダヴィドが死ぬはずがない」 虚しい。遺体と対面することも強硬に拒否されます。 「あの子は私が止めるのも聞かずバイクで走って行った。 あの子には本当の友達が必要だった。 会わせないわ。絶対に」 ...

僕のせいだ

〜「Summer of 85」(33)〜

僕のせいだ   「帰って、あなたが殺した」 ゴーマン夫人は息子の事故死の原因は アレックスとの諍いであったと知っています。 彼が息子を殺したのも同然だ。 誰かのせいにしなければ、あまり突然の喪失に 耐えられなかったのでしょう。 アレックスは「僕のせいだ」と自分を...

ダヴィド、どうしたの?

〜「Summer of 85」(31)〜

ダヴィド、どうしたの?   ダヴィドはバイクに飛び乗り、アレックスを追った。 息子の様子が変だった。 「ダヴィッド、どうしたの?」とゴードン夫人は声をかけた。 息子に呼びかけた最後の言葉だ。 ダヴィドは悲劇に疾走する。 ダヴィドが翻弄したのか、アレックスが翻弄されただ...

アレックス、待て!

〜「Summer of 85」(30)〜

アレックス、待て!   ショックでアレックスは発作のように店を飛び出す。 店内の棚を倒し、商品をぶちまけ、走り出た。 「アレックス、待て!」ダヴィドの制止も振り切る。 外は明るかった。夏の陽光が降り注ぐ。 海は凪いでいた。穏やかで、平和で、何も波乱のない海岸通り。 そ...

知らないほうがいい

〜「Summer of 85」(26)〜

知らないほうがいい   「理由を聞きたい」迫るアレックスに 「しつこいな。相手が女だから怒るのか?」 「違う。古い靴下みたいに扱われた。僕を無視して 目の前で彼女を口説いた。理由を言え」 「知らないほうがいい。ただの嫉妬だ。すぐ落ち着くさ。 僕が悪かった。許してくれ。...