バレリア・ブルーニ・テデスキ

僕を助けたとき下心はなかったか

〜「Summer of 85」(25)〜

僕を助けたとき下心はなかったか   アレックスは理想の友だち、ダヴィドを嫉妬からなじります。 「いやな感じだな」とダヴィド。 「そっちこそ」 「後悔するぞ」「それは君だろ、何さまのつもりだ」 「僕は君の所有じゃない」 「友だちだと思っていた」 「友だち以上だろ」...

陳腐で平凡で死ぬほど悲しい

〜「Summer of 85」(24)〜

陳腐で平凡で死ぬほど悲しい   アレックスの独白。 「ダヴィドとの最後のほうは記憶が曖昧だ。 他のことは鮮明に覚えている。海で救われたこと、 出会った日の夜に映画を観たこと、バイクの疾走。 ずっと胸がドキドキして 一緒にいるだけで最高に幸せだった。 終わりの始ま...

終わりの始まりだった

〜「Summer of 85」(23)〜

終わりの始まりだった   ショッピングの帰り、海岸でケイトに会う。 ダヴィドは気さくに話しかけ、ケイトも悪い気はしない。 なにしろハンサムだ。 「次はケイトも一緒に海に出よう。カリプソ号で行こう」 「うれしい!」 カリプソ号はダヴィドのヨットである。 セーリング...

彼とは3年生の時に?

〜「Summer of 85」(21)〜

彼とは3年生の時に?   “あなたがすべてを許せば 僕たちは幸せでいられる 悲しみがもたらされても 美しき涙が2人を癒す“ とダヴィドが詠む。 「ヴェルレーヌだ。ランボーに捧げた。ルフェーブルに教わった」 ルフェーブルはアレックスの指導にあたっている先生だ。 「...

あの子は本当に荒れていた

〜「Summer of 85」(20)〜

あの子は本当に荒れていた   ダヴィドの母ゴードン夫人。 「あの子は本当に荒れていた。悪い仲間とつるんで 昼も夜も出歩いていた。 あなたに会って自分を取り戻し、 父親を亡くした悲しみから立ち直った。 一緒に店を大きくしたいわ。秋からフルタイムで働けば? 観光客の...

ほんの一瞬も離れたくなかった

〜「Summer of 85」(19)〜

ほんの一瞬も離れたくなかった   たぶん彼を愛していた。 愛したら満たされると思っていた。 でもどんなに愛しても足りなくて、 ほんの一瞬も離れたくなかった。 彼と2人でいる時も満たされなかった。 見つめて触れていつも一緒にいたかった。 あの362万8800秒を。...

最高に美しい夜だった

〜「Summer of 85」(16)〜

最高に美しい夜だった   場面は再びダヴィドの部屋。 「来いよ」とダヴィドが誘う。 「お母さんは?」「もう寝てる」 アレックスの独白。 「ドアの向こうで何があったか知りたいと思うのは自然な感情だ。 僕が言えるのはひとつだけ。 最高に美しい夜だった。ダヴィドとの夜...