ナタリー・バイ

自分を特別だと思うな!

〜たかが世界の終わり㉑〜

自分を特別だと思うな!   兄貴がいちばん腹の立つのはこれですね。 ルイが成功し自分たちとは違う特別な世界の住人になった、と思っている。 だから12年間も家族を放りっぱなしにしていた、洟も引っ掛けなかった。 どうせ何か困り事があったから帰ってきたのだろうが 「今さら俺たちを巻き込むのはやめ...

もったいぶった話と虚しい言葉

〜たかが世界の終わり⑳〜

もったいぶった話と虚しい言葉   兄貴はグズい弟の言葉にイライラと一刀両断です。 「お前が何もせず空港で待っていたことを、俺が喜ぶ? 本当かどうか疑わしい話を聞かされている。もったいぶった話と虚しい言葉」兄貴のセリフがいきなり詩人みたいになりました。 「わからない、なぜ戻ってきたのか。誰もわ...

よくわからないけど…

〜たかが世界の終わり⑲〜

よくわからないけど…   ルイはまだこんなことを言う。 「よくわからないけど、兄さんが今朝(空港の日の出やカフェの)話を 聞いたら喜ぶと思って」 この弟は、とぼけているのでないとしたら、かなりKYね。 兄貴が言ってほしいことの察しが皆目ついていません。   (「たかが世界の終...

何も変わったことはなかった

〜たかが世界の終わり⑱〜

何も変わったことはなかった   「何も変わったことはなかった。ここまで来たからって、 世界が終わるわけじゃない」とルイ。 自分が死んだって、知ったことじゃないよねという意味か。 「聞きたくないなら黙っているよ」 そういったとたん「何を言ってる、ちゃんと聞いてるよ」と兄貴。 兄は根本では弟...
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なぜそんな話をする?

〜たかが世界の終わり⑰〜

なぜそんな話をする?!   ルイは「今朝早く空港について、すぐ家に行かず、空港で日の出を見て、 カフェで待つことにした」と兄に言います。 兄は「なぜそんな話をする? 何か言って欲しいのか」と突っかかる。 「そうじゃないんだ。ただ知って欲しかった」 「空港やカフェの話なんか聞かせるな。お前が...

バカはお前だ!

〜たかが世界の終わり⑯〜

バカはお前だ!   この映画の破調を受け持つのが兄貴と妹です。 ルイが昔住んでいた家を見に行きたいと言ったとたん、兄貴がガナリだす。 「何が悪いの、見に行って。バカな口出し、しないで」と妹。 ルイはうろたえ「僕はただ行って見たくて」 「20年掛かってやっと出た家を見に行く?」 今の家に移...

悲しくて苦しくてやりきれなくて

〜たかが世界の終わり⑮〜

悲しくて苦しくてやりきれなくて   ルイのパートナーとの回想です。 歌が入ります。 「悲しくて苦しくてやりきれなくて わかっているんだ、君の気持ちはまるでゼロ 今までずっとうまく隠そうとしてきたね 気づいたんだ ふたりの間に入った深いヒビ、横にもタテにも」 センチメンタルでほろ苦く、...

母さん、僕は34歳になった

〜たかが世界の終わり⑭〜

母さん、僕は34歳になった   「34歳になったよ」 「私も同じだけ年をとったのね。長かった?」 「よくわからない」 いつまでヌエみたいな問答を繰り返しているのかイジイジしてきます。 監督もこのへんで切りあげないと、気の短い観客は席を立つとでも 思ったのか、母親にこう言わせる。 「あな...

今もゲイ地区に?

〜たかが世界の終わり⑬〜

今もゲイ地区に?   「今もゲイ地区に?」と母。 「いや、もう引っ越したよ」とルイ。 「住所を教えたくないの? 母親なのに。 あなたって子はまだ気づいていない。まだ愛されていないと思っているのね。 自分は理解されていないと? その通りよ。 あなたを理解できない。でも愛している。誰もこの愛...

もう戻らない気ね

〜たかが世界の終わり⑫〜

もう戻らない気ね   母親は息子のとらえどころのない冷たさに、何か理由があると気づきます。 それは家族に対する憎しみからでもない、嫌がらせからでもない、 理由は教えてくれないけど、ただもう戻らない気なのだと。 ルイは自分の死など家族にとっては「たかが世界の終わり」だと思う。 疎外感もここま...