タリーと私の秘密の時間

乾 杯!

〜「タリーと私の秘密の時間」⑳〜

  乾 杯!   タリーとマーロは、夜の庭に出てワインを手に語り合う。 静かな時間を、ひとしきり話し、「乾杯」グラスを合わせた。 こんな余裕が持てたのは何年ぶりだろう。 「セックス? ご無沙汰ね。 食事したいのに、レストランも空腹かも決められない。 昼間はミアを抱いていて、あ...

どうして?

〜「タリーと私の秘密の時間」⑲〜

  どうして?   いつも通り、マーロが台所に下りてきた。 思わず「どうして?」 テーブルには赤、青、黄色、緑、色とりどりのカップケーキが お花畑のように並んでいる。 「いいママ」のたとえとしてあげたカップケーキ。 綺麗すぎて現実とは思えないくらい、まるで魔法だ。 マーロは...

そうね、長いことケアできてない

〜「タリーと私の秘密の時間」⑱〜

  そうね、長いことケアできてない   マーロ本人も自分のことがよくわかっている。 「そうね、長いことケアできていない」 でも、どうやってやればよかったのか。 押し流される日々。毎日続くとりとめのない、 誰も褒めてくれない家事の連続。ダダ漏りなって消える時間。 目が覚めれば同...

私は自分自身に怒っている

〜「タリーと私の秘密の時間」⑰〜

  私は自分自身に怒っている   「あなたの仕事は? そもそもの夢は?」とタリー。 「叶わなかった夢があるなら世界に怒れるのだけど、 私は自分自身に怒っている」 「からっぽだから?」 その通りなのです。夢も意欲もやる気もからっぽ。 「ミア以外のことも私に頼って。人生の全部をケ...

あなた、いいママよね

〜「タリーと私の秘密の時間」⑯〜

  あなた、いいママよね   一人で悪戦苦闘してきたマーロをしみじみと見て、 「あなた、いいママよね」とタリーは言う。 誰も言ってくれなかった。女がやるのが当然、またマーロ自身が ガンバリズムだから、当然視されていたフシもある。 でもこの時は 「いいママはクラス・パーティを開...

明日は別人よ

〜「タリーと私の秘密の時間」⑮〜

  明日は別人よ   タリーがミアを抱いたまま「明日は別人よ」 「別人?」不審なマーロ。 細胞は少しずつ入れ替わり、今日とは別の細胞になる。 ある部分は別人になっているというのがターロの持論。 「本当よ。少し成長しちゃう。私たちも…」 私たちも、に深い意味があるのですが、マー...

待って。キスして

〜「タリーと私の秘密の時間」⑭〜

  待って。キスして   2階(寝室)に引き取ろうとするマーロにタリーが呼び止める。 「待って。キスして」。マーロ「!」 ミアをあやしながらタリーは(自分ではなく、ミアに)と合図。 (ああ、そういうこと)とマーロ。 シャーリーズ・セロンもマッケンジー・デイビスも 女性同士の親...

私をプライスだと思って

〜「タリーと私の秘密の時間」⑬〜

  私をプライスだと思って   アダルトを見ていたことがバレ、ちょっと居心地悪そうなマーロに 「私をプライスだと思って」 プライスとは番組の中の、ジゴロのマネージャーです。 元ジゴロだったが、年をとって管理に回った。 「あなたはアッシュね」とマーロ。 「密教徒で、インド人のジ...

心を開いて、マーロ

〜「タリーと私の秘密の時間」⑫〜

  心を開いて、マーロ   出勤したマーロがテレビを覗き、「これ、なに?」 マーロはバツが悪そうに「ジゴロっていうテレビショーよ」 アダルト番組だ。 「見てたの?」「まさか」マーロはあわてて否定する。 タリーはそんなマーロをいたわるように 「心を開いて。マーロ。あなたの役に立...

何もかも完璧だった

〜「タリーと私の秘密の時間」⑪〜

  何もかも完璧だった   「そうじしたの?」と長女が訊く。 マーロが台所に来たら、床はピカピカ。整然と片付けられ テーブルには花まで生けてある。 マーロはご機嫌だ。 「彼女、完璧なの」それだけではない。 「久しぶりに熟睡したわ。世界が明るくなった」 ぐっすり眠れただけで、...