スーザン・サランドン

噂の二人

〜「セルロイド・クローゼット」⑪〜

  噂の二人   70年代に入ってハリウッドの検閲も次第に薄らいでいきました。 そんな時ウィリアム・ワイラーが「子供の時間」に3度目の挑戦。 過去2回では女同士の同性愛を正面から取り上げるのはもってのほか。 ワイラーは思うように描けない愛情関係に 「いつかは」と期するものがあっ...

彼と寝たかったからだ

〜「セルロイド・クローゼット」⑩〜

  彼と寝たかったからだ   まずイギリス映画がゲイに取り組みました。「犠牲者」です。 初のゲイの主役を演じたのはダーク・ボガード。 同性に対する性的要求を明確に言葉で表すシーンがあります。 1961年という時代に、スターが言うには思い切ったセリフでした。 「彼と寝たかったから...

「完璧な人間はいない」

〜「セルロイド・クローゼット」⑨〜

  「完璧な人間はいない」   傑作「お熱いのがお好き」です。 ジャック・レモンが大富豪オズグッド三世に求婚されます。 ジャックは必死で彼の求婚を断る。 有名なモータボートの告白のシーンです。 「わたしたち、結婚できないの」「なぜだ」 「だって私はブロンドじゃないし」「かまわ...

ハリウッドの掟

〜「セルロイド・クローゼット」⑧〜

  ハリウッドの掟   脚本家のジェイ・プレッソン・アレンは言います。 「ハリウッドでは長い間、DF映画が全盛でした。ドリス・デイの映画は みなそうよ。それがハリウッドの掟でした」 DFつまり、結婚するまで寝ないからそう呼ばれた。 公序良俗を絵に描いたような映画が歓迎された。 ...

「大砂塵」

〜「セルロイド・クローゼット」⑦〜

  「大砂塵」   ディテールの読み方はとても大事でした。 服装、小道具、インテリア、家具。 服装だけに注目して映画を見るファンもいます。 「『大砂塵』は駄作だったけど、黒シャツのジョーン・クロフォードだけを 見たくて映画館に行った」というファンもいたほどです。 ゲイの観客は...

“ガーデニア”

〜「セルロイド・クローゼット」⑥〜

  “ガーデニア”   「マルタの鷹」です。 私立探偵サム・スペードは一人の男の訪問を受ける。 サム・スペードがハンフリー・ボガートです。 この映画は二つのセリフで有名です。 男の香水に気づいて「ガーデニアか」とスペードがつぶやく。 これだけで彼がゲイだと映画は暗示しています...

奥様の下着はこちらに

〜「セルロイド・クローゼット」⑤〜

  奥様の下着はこちらに   「レベッカ」をレスビアン映画だという人はいない。しかし 一ヶ所だけ、ゲイの観客にはピンとくるところがあります。 死んだレベッカを家政婦のダンヴァース夫人は崇拝している。 だから新しい女主人をバカにして胸襟を開かない。 屋敷を案内し、亡きレベッカの寝...

ヘイズ・コード

〜「セルロイド・クローゼット」④〜

  ヘイズ・コード   社会の潮流は、ゲイ映画の表現を歓迎しましたが、 長い間の文化は壁が厚かった。特にキリスト教会、婦人団体から厳しい 取り締まりの要求が相次ぎ、作品の基準を保つ規定がなされた。 いわゆるヘイズ・コードです。 ミッキー・マウスのような顔のヘイズがテレビに映って...

おはよう、エヴァ。早起きだね

〜「セルロイド・クローゼット」③〜

  おはよう、エヴァ。早起きだね   シーンは前後しましたが、クリスチナ女王は侍女のエヴァにやさしい。 「おはよう、エヴァ。早起きだね」と言って頬を挟んでキスする。 彼女はものすごい勉強家で、国務を開始する前の早朝を勉強に充てた。 フランスから哲学者デカルトを招聘し、 彼は朝イ...

一生嫁を取らないのだ

〜「セルロイド・クローゼット」②〜

  一生嫁を取らないのだ   「クリスチナ女王」はレスビアンだったスウェーデン女王の実話。 神聖ガルボ帝国の君主にして女王、グレタ・ガルボ主演。 今やカルトとなった映画です。 彼女はハンサムですが、容貌上の特徴の一つは、男性的な鋭い視線です。 このシーンなんかその視線の強さが実...