ジュリアン・ムーア

帰ったのかと思った

〜キッズ・オールライト㉛〜

帰ったのかと思った   ふと気がつくとママも弟もいない。 ジョニは不安になる。部屋の外に出てあちこち視線を巡らす。 見当たらない。 「ここよ。車を移動していたの」 (ああ、いたのだ)ホッとする。 「帰ったのかと思った」 「黙って帰るはず、ないでしょう」 ママたちは前のシートにいて、手...

一人にして

〜キッズ・オールライト㉚〜

一人にして   娘が学生寮に入寮する。 ニック、ジュールズ、弟が揃って車に荷物を積み込み、8時間かけて寮へ。 「ここがそうね」ママたちは感慨深い。 生まれて初めて親元を離れる娘。彼女が暮らす部屋。 ジョニーは段ボールや箱が置かれたママの部屋で「一人にして」と頼む。 親の世話やきがうるさい...

どうか許してほしい

〜キッズ・オールライト㉙〜

どうか許してほしい   ジュールズがバラバラになった家族と向き合います。正面から。 「ママたちは危険な状態よ。結婚って難しい。 ふたりの人間がお互いに苦労に耐え、年月を重ねる。歳をとり、変わりながら あまり一緒にいると時として、相手を見失い、 目に映るのは自分の醜さの影だけ。 話し合おう...
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あなたの家族じゃないのよ!

〜キッズ・オールライト㉘〜

あなたの家族じゃないのよ!   訪ねてきたポールにニックが相対する。 開口一番「よく聞きなさい」。アネット・ベニングの迫力がほとばしる。 「あなたの家族じゃないのよ。私の家族よ。その理由を知りたい? あなたは侵入者だから。家族がほしいなら自分で作りなさい」 家族なんて一朝一夕になりたちはし...

あなたがゲイなら繊細だったのに

〜キッズ・オールライト㉗〜

あなたがゲイなら繊細だったのに   15歳の息子はまだ姉ほど、ことの事態を飲み込んでいません。 ニックが「あなたがゲイなら繊細だったのに」というセリフ とても効いています。 マイノリティにしかわからない潜在的な不安、 社会とノーマリティへの対応、生まれながらに培ってきた感性、 それらをひ...

いやよ、話したくない

〜キッズ・オールライト㉖〜

いやよ、話したくない   母親の動揺を子供たちは敏感に感じ取ります。 ジュールズが話そうとすると 「いやよ、話したくない」と18歳の娘。 「ママの望みは叶えたわ。オールAで志望校はみな合格。 完璧なレズビアン家庭を自慢したら?」 子供には子供の世界の軋轢があったのでしょう。 ゲイカップ...

私は認めてほしくて

〜キッズ・オールライト㉕〜

私は認めてほしくて   食いさがるジュールズに「何なの?」とニック。 「私は求めていたの。認めてほしくて」 「私はあなたを認めていないわけ? そう、わかった」 何がわかったのか、ニックもわかっていないと思いますが、 売り言葉に買い言葉です。ジュールズは突き放される。 ジュールズだって、ニ...

男がよくなった?

〜キッズ・オールライト㉔〜

男がよくなった?   その夜ニックが訊く。 「彼と寝てるんでしょ。これ以上苦しめないで。あなたの髪が排水口に。 彼に恋しているの?」 「いいえ、ちがうわ」 「男がよくなった?」 「あなたがこの頃、遠くなって」 「じゃ、私のせいね」 「ちがうの、話を聞いて」 ジュールズは必死です。こ...

バスルームは?

〜キッズ・オールライト㉓〜

バスルームは?   夕食会の日がきました。ポールの家に来た ニックとジュールズ、娘に息子たち。 ニックも機嫌よく話を合わせ、ジュールズの美味しい料理で盛り上がります。 そのうちニックは手持ち無沙汰になってくる。 だいたいニックという人、世間話がうまいタイプではない。 無駄話や、どうでもい...

自分の家族がほしい

〜キッズ・オールライト㉒〜

自分の家族がほしい   しかしポールの言い分も虫がいいのです。 「自分の家族がほしい。君との関係は気軽で楽しかった。 だけどこのまま50歳になりたくない。 僕と人生を分かち合える相手と一緒に…」 遠からぬ将来の、介護要員でもほしいみたいな言い方だわ。   (「キッズ・オールラ...