ゲイ

僕のことだよ!

〜ゲイ・アイコン ヴァージニア・ウルフ⑤〜

  「僕のことだよ!」 オルランドが言う「僕のこと」とはどんなことか。 「彼は権力と領地、財産を受け継ぐ身であったが、 生まれたときから別のことを欲していた。 オルランドが求めていたのはそういう特権ではなく、 話し相手だった」。 これ、ウルフのことね。 「オルランド」が出版されたのは1...

いつか楽になる日が来る?

〜ゲイ・アイコン ヴァージニア・ウルフ③〜

  「姉さん、いつか楽になる日が来る?」 ウルフが姉のバネッサに抱きついて泣きながら言う、 このセリフは痛ましい。 病気の予感と創作の中断と狂気に怯え、 ウルフの神経はさいなまれます。 母親を早く亡くしたウルフは、 姉に一生甘え、頼りにしていました。 姉は姉でアマエタの妹に口やかましい...

もし後悔してると言えたらいいのに

〜ゲイ・アイコン ヴァージニア・ウルフ②〜

 「自分のしたことを、もし後悔していると言えたらいいのに。でも他に方法がなかった。重荷を一生背負うわ。だれも許してくれない。あの暮らしは死だった。わたしは生を選んだの。」3人のヒロインのうちのひとり、 ジュリアン・ムーアの演じるローラは、 夫と、幼い息子と、生まれたばかりの娘を置いて家を出ます。 娘が生まれる...

花はわたしが買ってくるわ

〜ゲイ・アイコン ヴァージニア・ウルフ①〜

  「ミセス・ダロウェイは言った。「花はわたしが買ってくるわ」」 「めぐりあう時間たち」はウルフのダロウェイ夫人がモチーフです。 田舎で静養しているウルフが最初の1行を書き出すシーンがこれ。 ニコール・キッドマンのウルフはどう見ても若すぎますが、 でも繊細なウルフの「見た目」を、 頑張...

片づいたらこれを置く

〜愛しのヘンタイ/デヴィッド・リンチ②〜

  「片づいたらこれを置く」 青はデヴィッド・リンチの大好きな色です。 「ブルー・ベルベット」も、 あれがブルーだから暗く沈んだ、 心の闇の世界に説得力がありました。 「マルホランド・ドライブ」にも、要所、要所に青が使われます。 ヒロインがバッグから取り出した青い小箱からは、 手品のよ...

お静かに。楽団はいません

〜愛しのヘンタイ/デヴィッド・リンチ①〜

  「お静かに。楽団はいません」 デヴィッド・リンチにすれば、この映画がどういわれるかわかったうえで、 「お静かに。楽団はいません」と、 劇中タネ明かしのヒントをいれておいたのでしょうね。 女優を夢見てカナダからやってきたナオミ・ワッツが、 同じ女優志願の女性ローラと愛し合うが、彼女は...

なぜ? 美しいだろ?

〜みごとなどんでん返し⑤〜

  「止めさせましょう」「なぜ? 美しいだろ?」 ベルダルド・ベルドリッチの28歳のときの「暗殺の森」なんか、 今にしてみると、 逸脱だろうが妄想だろうが美しいものは美しい、 という彼独特の突き放し方がよく表れています。 ドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリがタンゴを踊っている、 ...

IQ200

〜みごとなどんでん返し④〜

  「IQ200よ。やろうと思ったことは何でもやる子よ。」 しまいに「まだあるの?」とあきれるほど、 つぎつぎ見せてくれる「どんでん返し」のオンパレード。 ホラーでもなく、サスペンスでもなく、アクションでもなく、 陽光あふれるフロリダを舞台に、学園モノ・青春モノで、 ここまでひっぱるのはあ...

みんなにビールをおごってやってくれ

〜みごとなどんでん返し③〜

  「みんなにビールをおごってやってくれ」 どんでん返しNO.1を争う感動作。 無実の罪で服役中のアンディ(ティム・ロス)は元バンカー。 刑務所幹部の、相続税を逃れる方法を教えてやり、 礼のかわりに「みんなにビールをおごってやってくれ」と頼んで、 囚人たちの心をつかむ。 所長の裏金作り、...

おれはもう終わりだ、自殺しかない

〜みごとなどんでん返し②〜

  「おれはもう終わりだ、自殺しかない」 イギリスの名優マイケル・ケインと現代のアポロ、 クリストファー・リーヴスが愛人同士を演じ、 莫大な妻の遺産相続を狙う。 妻は計画通り心臓発作で死んだ。 うまくいったはず、なのに… 若い愛人の不審な行動に、主人公の疑惑はふくれあがる。 登場人物は...