クリスタ・コソネン

1952年

〜「TOVE トーベ」(35)〜

1952年   瓦礫のヘルシンキから8年、1952年。 トーベがインタビューを受けています。 「心変わりのきっかけは?」 「芸術家として失敗したので」 画家からなぜ児童文学作家に心変わりしたのかという質問です。 父親の望む「芸術家」に失敗したからと答えています。 ...

僕は鈍感になりきれない

〜「TOVE トーベ」(34)〜

僕は鈍感になりきれない   一夜明ける。 「おはよう、奥さん。何を考えている?」 かたわらのトーベにやさしく話しかけるアトス。 答えは「ヴィヴィカ」 そこまで言う? もう少し何とかならないもの? ならないのがトーベなのでしょうけど。 アトスは二の句が告げない。 ...

妻なのだから養って

〜「TOVE トーベ」(33)〜

妻なのだから養って   その夜アトスとトーベは飲み明かす。 「妻なのだから養ってもらえるのでしょ」 「社会主義者の妻は、贅沢は禁物だ」 眠り込んだアトスのそばで、トーベは1人、踊りまくる。 シング・シング・シング。 狂ったように踊りながら、泣くトーベがなぜか痛々しい。...

竜は人になつかない

〜「TOVE トーベ」(32)〜

竜は人になつかない   トーベはアトスに「求婚して。私と結婚したいのでしょ」 「僕の知る限り竜は人になつかないよ」 ヴィヴィカが常識の範疇に入らない女性であり、 別れたショックの反動だろうと察しがついた。 「僕と結婚するというのは、つまり気が変わったのかい。 本気か。...

トーベ、明日は来る?

〜「TOVE トーベ」(31)〜

トーベ、明日は来る?   無言で去るトーベにヴィヴィカが呼びかける。 「待って。トーベ、明日は来る?」 こういうところがヴィヴィカなのでしょう、 二度と来なくなっても当然なのに、 何もなかったように「明日はくる?」 トーベはその足でアトスに会った。 ショックの大...

なぜ怒らない?

〜「TOVE トーベ」(28)〜

なぜ怒らない?   こちらスウェーデン劇場。 ムーミンの舞台稽古が始まっています。 舞台美術と衣装はトーベの担当です。 ステージで俳優のひとりが演出のヴィヴィカに質問する。 「ムーミンはなぜいつもやさしいのだ。決して怒らない」 「トーベ、なぜ?」ヴィヴィカは作者に聞き...

君が結婚したがっているかと

〜「TOVE トーベ」(27)〜

君が結婚したがっているかと   トーベの無言の反応はアトスにとってつらいものだった。 「君が結婚したがっているかと。もちろん僕もそうだった」 「それが望み? 結婚は、したくないわけじゃないけど」 歯切れの悪さにアトスは この調子じゃ見込みなし、「忘れてくれ」 早々に前...