オリヴィア・コールマン

女王に気安く触れるな!

〜 「女王陛下のお気に入り」70

女王に気安く触れるな!   抱き起こそうとしたアビゲイルは女王の一喝におののく。 「女王に気安く触れるな!」 「すみません」 「話せと命じていない。脚を揉め」 「横になって」 「命じられた時だけ口を利け」 さらに「目が回る。何かにつかまりたい」 アビゲイル...

「アン」

〜 「女王陛下のお気に入り」69

「アン」   女王がうたた寝している。 ベッドの周りを何羽ものウサギが歩き回っている。 キイ、キイという悲鳴で女王は目を開く。 侍っているアビゲイルが素知らぬ顔で、ウサギを踏みつけている。 女王、起きあがろうとして倒れた。 「アン」とアビゲイルがそばに寄る。 「...

もうイングランドにウンザリよ

〜 「女王陛下のお気に入り」68

もうイングランドにウンザリよ   窓辺のサラが振り向いて夫に言う。 「郵便が来たわ」 郵便ではない、騎乗の一隊だ。 サラは自分の運命を知る。でも頭をうなだれはしない。 夫に言った。 「もうイングランドにはウンザリよ。よそへ行きましょう」   &n...

国外追放せよ

〜 「女王陛下のお気に入り」67

国外追放せよ   サラは自邸で手紙を書いている。 書いてはポイ、書いてはポイ。 デスクの周りは紙屑だらけだ。 「あなた忠実なサラ」でも先が続かない。 ポイ、ポイを繰り返しながらようやく書き上げた。 女王待望の手紙が宮廷に届いた。 だがそれは網を張っていたアビゲイ...

彼女はやらない

〜 「女王陛下のお気に入り」66

彼女はやらない   「大金が消えています。帳簿に記載のないお金が モールバラ卿の手に」 恐れながらとアビゲイルが女王に直訴した。 「つまり、サラが夫に渡していたと?」女王。 「そのようです」 女王言下に「彼女はやらない。下がって」 断固とした迫力に気圧されたアビ...

郵便はこれだけ?

〜 「女王陛下のお気に入り」65

郵便はこれだけ?   手紙を書けとゴドルフィンはサラに勧める。 「謝罪すれば復帰の道が開ける」 「譲歩には限界がある」サラも強情です。 一方でゴドルフィンは女王に 「夫人の手紙で陛下の苦しみは癒せるのでは?」 コッテ牛みたいな女2人を 仲直りさせるのに骨を折るゴ...

閉じぬ傷もある

〜 「女王陛下のお気に入り」64

閉じぬ傷もある   このままでは宮廷が、ひいては国が方向を誤るのでは。 恐れるゴドルフィンは女王に会った。 「陛下、親しき友との不和は解消できるはずです」 「閉じぬ傷もある。そんな傷ばかり。 癒えぬ傷口に血が滴るのを感じる」 「癒えぬ傷口」を作ったのは女王自身でもある...

女の気持ちは謎だが

〜 「女王陛下のお気に入り」63

女の気持ちは謎だが   前大蔵卿ゴドルフィンがサラを訪ねた。 ハーリーがサラの夫を総司令官から降ろすべきだと 女王に進言する席で、1人庇った人物だ。 彼は戦争推進派、つまりサラと同じ意見だった。 「講和は大幅な譲歩を強いられた」 「やはりね」と頷くサラ。 「女の...