アデル・エネル

やめてください、それです

〜「燃ゆる女の肖像」(41)〜

  やめてください、それです   エロイーズがよく笑うようになった。 モデル台に座る彼女にマリアンヌが咎める。 「やめてください、それです」 顔をほころばせるから表情が固定しないのだ。 「真面目に、そのまま」厳格に注意してもすぐエロイーズは笑う。 マリアン...

待ちながら想像していました

〜「燃ゆる女の肖像」(37)〜

  待ちながら想像していました   「待ちながら想像していました」 マリアンヌ「私の夢を?」 どうもマリアンヌの質問はちょっとずれている時があります。 「いいえ」エロイーズは否定し 「考えていました」マリアンヌを振り向かせ熱烈なキス。 考えていたのはこれで...

恋人たちは皆こんな気持ちに?

〜「燃ゆる女の肖像」(36)〜

  恋人たちは皆こんな気持ちに?   エロイージは部屋で待っていた。 「怖くなったのかと」 「その通りです」エロイーズは答え 「恋人たちは皆こんな気持ちに?」 その日の朝、言葉も交わさず初めて抱き合った。 エロイーズは黙ったまま館に去り夕食にも降りてこなか...

(女たちの夜の祭り)

〜「燃ゆる女の肖像」(34)〜

  (女たちの夜の祭り)   村の女たちだけが集まり、焚き火を囲んで手拍子で素朴な歌を歌う。 ソフィは古老の女性のそばに行って何か相談する。 「2日後だって」とマリアンヌに耳打ちする。 「私も行くわ」マリアンヌはソフィ一人を行かせるのは心配だった。 エロイーズは...

私を見て、と妻が誘ったのかも

〜「燃ゆる女の肖像」(33)〜

  私を見て、と妻が誘ったのかも   でもエロイーズが言います。 「私を見て、と妻が誘ったのかも」 夫が振り向けば自分は死ぬとわかっているのに、 なぜ妻は「私を見て」と言ったのか。 死にたかったからよ。 地表に出て元の生活に戻れば、いつか平凡な日常にまぎれ...

ひどいわ、振り向くなんて

〜「燃ゆる女の肖像」(32)〜

  ひどいわ、振り向くなんて   マリアンヌ、エロイーズ、ソフィ、3者3様の意見が述べられます。 ソフィ「ひどいわ、振り返るなんて。ダメと言われたのに」 エロイーズ「愛ゆえの行動かも」 マリアンヌ「彼は振り返るのを我慢するより別のものを選んだのよ。 妻の思い出を...