ゲイ映画のキメ台詞

私のニナはどこに?

〜「ブラック・スワン」㉖〜

  私のニナはどこに?   精神の異界に滑り込もうとするニナに、ママは気が気ではなかった。 「役につぶされる。私のニナはどこに?」 いっそもう降りた方がいい。 「病気よ。あなたには無理よ」 ニナは食ってかかる。その言い方が意地悪だった。 「私は主役よ。ママは群舞の一人だったじ...

私のものを盗んだの?

〜「ブラック・スワン」㉕〜

  私のものを盗んだの?   「なにしに来たの?」ベスが訊きます。 ベスのイヤリング、香水…ベスの楽屋から黙って持って行った。 「私のものを盗んだの?」 「あなたのように完璧になりたくて」 ベスの持ち物を身につけて、彼女のようでありたいと願った。 いじらしいというか、切ないと...

ほどほどにしろ

〜「ブラック・スワン」㉔〜

  ほどほどにしろ   役をとられる…ニナの妄想は広がり、忘れるために練習に没頭します。 明日は初日だというのに、いつまでもレッスンを止めない。 ピアノの伴奏を受け持つスタッフは 「もう疲れたよ。ほどほどにしろ。明日は初日だ」 強迫観念が常軌を逸したレッスンになっている。 「...

私を傷つけようとしている

〜「ブラック・スワン」㉓〜

  私を傷つけようとしている   トマはリリーをニナの代役としました。 主役に何かあった時のリリーフです。 ごく通常の措置ですが、ニナはそう受け取らない。 「彼女は役を狙っている。私を傷つけようとしている」 トマは驚きますが、初日を控え神経が高ぶっていると思った。 「君は苦し...

「泊まったでしょ」「いいえ」

〜「ブラック・スワン」㉒〜

  「泊まったでしょ」「いいえ」   目がさめるといるはずのリリーがいません。 レッスンに急ぐ。ごく普通の顔をしたリリーがいた。 「昨日、泊まったでしょ」「いいえ」 リリーは不審に聞き返す。 「でも」口ごもるニナにパッと笑い 「私とやってる夢を見たの? 私、よかった?」 そ...

(黒い翼)

〜「ブラック・スワン」㉑〜

  (黒い翼)   リリーに挑むニナの背に、みるみる黒い大きな翼が広がります。 怪鳥のように羽ばたく。ニナは激しくリリーを求める。 リリーの顔が自分の顔に変わっている。 もう一人の自分が、悪の黒鳥がついに姿を現しました。 ニナは潜在意識の中で、内なる黒鳥に呼びかけていたのです。...

「もう12歳じゃないのよ!」

〜「ブラック・スワン」⑳〜

  「もう12歳じゃないのよ!」   帰りのタクシーで。 リリーがニナの腿をつつき、奥に指をすべらしています。 ニナは眠りこけている。やがてニナの家に着きました。 「何時だと思っているの。酔っているのね」とママ。 ニナは反抗する。「もう12歳じゃないのよ!」 ニナはママを無視...

「何なの?」「初めてなの?」

〜「ブラック・スワン」⑲〜

  「「何なの?」「初めてなの?」   夜の街に繰り出したニナとリリー。バーに入る。 リリーがバッグから取り出したものを「何の?」とニナ。 「初めてなの? リラックスできて抑制する気持ちが消えるわ」 吸うと2、3時間持つという。 「やめとく」「そう? 愉しみを知ったら?」 リ...

うるさい親ね

〜「ブラック・スワン」⑱〜

  うるさい親ね   ドアにノック。リリーが来た。事務局で住所を聞いたという。 「謝ろうと思って。確かに余計なお世話だったわ」 (もっとやさしくしてあげてと、リリーがルノワに頼んだことを指す) 奥の部屋から何か注意するママの声に「うるさい親ね」とリリー。 「お詫びに食事に招待す...

私と同じ過ちは避けて

〜「ブラック・スワン」⑰〜

  私と同じ過ちは避けて   「ルノワに迫られた? 女好きで有名よ。心配だわ」とママ。 「私と同じ過ちは避けて」 「だから?」とニナ。珍しく反抗的な響きがあります。 自分のために母親がキャリアを諦めたことを知っている。 申し訳ないと思うべきか。 しかしそれを度々口に出して言わ...