Diversity Studies

君の芸術の根底にあるのは平凡さだ

〜美しき男子〜ビョルン・アンドレセン⑤〜

君の芸術の根底にあるのは平凡さだアルフレッドという友人はアッシェンバッハにとってメフィストフェレスみたいですね(笑)。ぐさっとくることばかりいう。「君は小さな過失をいつも忌み嫌う。 いじけた道徳観が完璧な作曲を妨げている。官能に打ち負かされ、 本当の汚れに身を晒せ。君の芸術の根底に何がある? 平凡さだ」アッシェンバッハ...

「エリーゼのために」

〜美しき男子〜ビョルン・アンドレセン④〜

「エリーゼのために」タジオがホテルのピアノで「エリーゼのために」を弾きます。ポロンポロンと指で鍵盤を抑えているのを、アッシェンバッハが眺める。ここで娼婦エスメラルダを訪ねたときのアッシェンバッハの回想が入り、欲望の高まりがタジオと重なります。コレラの死亡者を目撃したアッシェンバッハは支配人に事情を訊きますが、悪評を恐れ...

邪悪は天才の食糧だよ

〜美しき男子〜ビョルン・アンドレセン③〜

邪悪は天才の食糧だよアッシェンバッハの友人、アルフレッドの見解です。アッシェンバッハは調和こそ芸術だといい「芸術家はバランスと力の象徴でなければいかん、曖昧は許されない」対してアルフレッドは「芸術こそ曖昧だ。君はまちがっている。邪悪は必要だよ。天才の食糧さ。天才は天与の狂気だ」アッシェンバッハはタジオに出会い、今まで感...

タジオも疲れているようね

〜美しき男子〜ビョルン・アンドレセン②〜

タジオも疲れているようねアッシェンバッハにダーク・ボガード、彼が虜になる美少年タジオがビョルン・アンドレセンです。ルキノ・ヴィスコンティのメガネにかなったというだけに、まことに美しい。セレブ一族であるタジオの一家もバカンスに来ていた。母親(シルヴァーナ・マンガーノ、ヴィスコンティお気にいりの女優)は、先に到着していた。...

父の家に砂時計があった

〜美しき男子〜ビョルン・アンドレセン①〜

父の家に砂時計があった初老のアッシェンバッハ教授は休養のためベニスにきました。彼はホテルの部屋で、父親の家にあった典雅な砂時計を回想します。「父の家に砂時計があった。砂の通る部分が細くて最初は砂がなくなっていくことに気がつかない。砂が少しも落ちないように見える。砂がなくなったことに気づくのはおしまいの頃だ。それまで、だ...

首をもらいにきた

〜美しき男子〜ギャスパー・ウリエル⑩〜

首をもらいにきたハンニバルはカナダまで最後の犯人を追い詰め、目的を終了します。「首をもらいにきた」という言い方、日本の侍が勝負に勝った証拠に相手の首を取る、という習わしをムラサキから教えられ踏襲しています。彼はカナダからアメリカに逃亡し、精神科医として名を成します。それからの後日譚が「羊たちの沈黙」です。 (...

命には命を

〜美しき男子〜ギャスパー・ウリエル⑨〜

命には命をハンニバルという青年の行動には、迷いというものが一切ありません。物事のすべてが水平線まで見えている。妹殺しの犯人は着々と計画通り消されていく。彼が食人鬼として獄舎に繋がれたとき、FBI捜査官(実習生)のクラリスが訪問しました。ハンニバルは生まれ育ったレクター城で美しいもの、エレガンスなものに囲まれて感性を陶冶...

妹に誓ったのです

〜美しき男子〜ギャスパー・ウリエル⑧〜

妹に誓ったのです最後の犯人はカナダにいた。追い詰めたハンニバルは応対に出たその男に、デッサンを見せる。目の部分をくりぬいて描いてあった。犯行のあと、ハンニバルの行方が消えた。パリで、彼は炎上する貨物船とともに爆死したことになっています。ムラサキさえその死を疑わなかった。でもちがった、ハンニバルは不死身なのか。原作者トマ...

医学校に入学しました、最年少で

〜美しき男子〜ギャスパー・ウリエル⑦〜

医学校に入学しました、最年少で実務奨学生としてハンニバルはパリの医学校に入学する。専攻は解剖学。夜遅く研究室に残り、臓器・器官の精緻なデッサンに励む。レオナルド・ダ・ヴィンチのような鉛筆デッサンだ。妹を食い殺した男たちの顔を正確無比に蘇らせた。ムラサキはハンニバルの下宿を訪ねた。壁にある鬼気迫るデッサンに不安を掻き立て...

非礼にはけじめが必要です

〜美しき男子〜ギャスパー・ウリエル⑥〜

非礼にはけじめが必要ですハンニバルの真骨頂とも言えるセリフ。ムラサキを侮辱した肉屋の腹をハンニバルは日本刀で真一文字に割く。帰宅したハンニバルに血の匂い。ムラサキはまがまがしい事実を察する。なぜ殺したのかと詰問するムラサキにいうのが上のセリフ。ハンニバルは非常に礼儀作法にやかましい青年です。まして愛するムラサキに対する...