Diversity Studies

本当の自分になれたのよ

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉚〜

本当の自分になれたのよ   車の中でテルマとルイーズが話す。 「ツキもここまでね」「覚悟しましょ」「悔いはないわ」「前向きな人ね」 テルマ「あんたはサイコー」 ルイーズ「あんたもサイコーよ。最高のバカンスね」 テルマ「少し脱線したけど」 ルイーズ「それがあんたよ。本当の自分になれたのよ...

「見てよ、あの数」

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉙〜

「見てよ、あの数」   砂塵をあげて追跡してきたパトカーが、二人の車を追い詰めた。 前方には広い空だけがある。 「ここ、グランド・キャニオン?」 「美しいわ」 「本当ね。信じられない」 「見てよ、あの数」「私たちのために?」 前には断崖と空だけ。後ろにはパトカーがびっしり、 壁のよ...

テルマ&ルイーズ

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉘〜

テルマ&ルイーズ   二人は全国指名手配された。 「指名手配犯。白人女性、ルイーズ・ソーヤー。170センチ、54キロ。 もう一人。テルマ。178センチ、59キロ。アリゾナとニューメキシコで 指名手配中。武装強盗と警官に対する暴行誘拐」 「全部わたしのせいよ」 「バカね、テルマ。ちがうわ...

お前ら地獄から出てきたのか!

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉗〜

お前ら地獄から出てきたのか!   タンクローリーの運転手がいやらしいしぐさばかりする。 車を止めたテルマとルイーズが、その気になったものと早合点した運転手は 嬉々として降りてくる。 テルマ「あんた少し下品よ」 ルイーズ「見ず知らずの女に失礼じゃない? 舌をベロベロ。一体何なの」 「謝っ...

振り返ると涙がでるよ

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉖〜

振り返ると涙がでるよ   裏道を一晩走ってメキシコに向かう。やがて夜が明ける。 神々しいばかりの夜明けだ。 「すべてが新しいわ。こんな覚めている気分初めて。未来に希望があるって気がするわ」 「後を振り返ると涙が出るよ」 ルイーズ「浜辺でマルガリータを」 テルマ「偽名を使って。働くわ。ク...

私は引き返せない

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉕〜

私は引き返せない   テルマは電話でハルと話していたルイーズに言います。 「裏切らないでよ。あんたが取引を考える気持ちはわかるわ。 恋人のジミーがいるし。でも私は引き返せない。一線を越えてしまった。 戻っても元のような暮らしはできない」 強盗だけの初犯だとせいぜい10年か15年か。しかし...

今は楽しいわ

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉔〜

今は楽しいわ   「バカなことをしたのかしら。駐車場で自首していれば…」 ふとルイーズに弱気がさす。 「あんたが無駄だと言ったのよ」とテルマ。 「誰も信じないし、トラブルになるだけだと。それにあんたが助けて くれなきゃ、どうなっていたか。私が男を誘ったことになって男は無罪放免。 そうな...

生まれつきの才能ね

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉓〜

生まれつきの才能ね   テルマが警官に銃を突きつけていう。 「奥さんを大事にしなさいよ。大事にしないと私みたいになるわよ。 こんなことができるなんて自分でも不思議だけど、亭主を見れば納得するわ。 ルイーズ、ラジオを撃って…警察の無線を撃つのよ、バカね」 テルマは警官をトランクに押し込め、...

お巡りさん、マイクを置いて

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉒〜

お巡りさん、マイクを置いて   ぶっ飛ばしていたルイーズがスピード違反で止められる。 警官が助手席に座らせたルイーズにあれこれ質問する。 テルマがヌッと窓から顔を突っ込み、拳銃を突きつける。 「お巡りさん、悪いけどマイクを置いて」(無線マイクです) ヌーボーとしているテルマがいざという時...

実現したわね

〜シスターフッド「テルマ&ルイーズ」㉑〜

実現したわね   ルイーズが、警察に不信があり、裁判にも通じているのをテルマは不思議で 「前に経験が? レイプ?」と訊く。 ルイーズは色をなし「二度とその話はしないで!」 剣幕に恐れをなし「わかったわ。二度と。絶対に」テルマは誓う。 思えば彼女らはとても孤独でした。 ルイーズは家族もな...