つい来てしまって
サラが顔を見せます。
「つい、来てしまって」とどことなく言い訳みたいです。
ミリアムは快く招き入れる。
「ジョンから何か、私のこと、聞いています?
彼自身のことも話しました?」
「何も」
ミリアムは満足し「それでいいのよ」。
サラは珍しそうに屋敷の中に目を配り
壁画、絵画、彫刻、屋敷全体の空気、典雅な佇まい。
「美しいものでいっぱいだわ」うっとり。
「2000年前の、ほとんど先祖から受け継いだ物です」
アメリカ人のサラには、2000年前なんて想像できない。
アメリカの国もなかった。
屋敷だけでなくミリアムまで謎めいてきた。
〜「ハンガー」〜